誰が「木村花さん」を殺したか コスチューム事件も?演出が招いた悲劇
「脳が爆発しそう」
放映直後からSNSでは大きな反響が生まれて、
〈お前も悪いだろ〉
〈あの口の利き方はない〉
〈暴力行為とか最低〉
といった感想がいつしか、
〈花さんのことテラスハウスファンは全員嫌い〉
〈早く消えろ〉
などと個人攻撃の形に変わっていったのである。
しかし炎上のきっかけとなった洗濯の場面で、過剰な演出が見て取れると指摘するのは、長年プロレス業界に従事する関係者だ。
「花さんは『縮んだ』と怒っていましたが、女子プロレスラーのコスチュームは基本的にレオタード素材で作られているので、洗濯もできるし乾燥機にかけてもダメにならない。もともと体に密着するようにできていますから、身に着けていない状態なら縮んだように見えるのです。あの場面は、彼女が怒るように指示されていたとしか思えません」
ガチンコを謳う番組に、暗に「シナリオ」の存在があることを疑うのだが、実際のところはどうなのか。
「放送される中でのリアルな描写は1割にも満たない。残りの9割は演技でした」
と明かすのは、同様の恋愛リアリティーショーに出演した経験を持つ女性だ。
「台本はありませんでしたが、現場には構成作家がいて、喋る相手や内容を指示されました。撮影時間も1日10時間を超えるなど異常に長く、常にカメラマンやスタッフに付き添われるので、素の自分を出す時間はほぼ皆無でした……」
制作サイドの意向に沿うことを求められたと続ける。
「ドラマやバラエティなら作り物だと視聴者も分かってくれるけど、番組を観た視聴者の多くは内容を事実だと思い込む。これが出演者の精神に響きます。画面の中の自分はありのままではないのに、過激なシーンを見た視聴者は酷い奴だと決めつけ、SNSを通じて人格攻撃を始める。出演者はそうじゃないと否定したくても、番組の制作過程を口外してはいけないと出演前に契約書を交わしているので、反論できません」
そうやって精神を蝕まれていくうちに、こんな錯覚を起こすに至る。
「怖いのは、罵詈雑言を受けるうちに、自分は誹謗中傷されるような人間なのだと思い込んでしまうこと。真実を言えないストレスが続くのはとても苦痛で、脳が爆発しそうになりました」(同)
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