寝屋川市が給付金10万円を二重振込みのミス 使い込んだら罪に問われるのか?
カナダも二重給付
二重に給付した世帯が返金を拒んだり、「使ってしまった」なんて言われた場合はどうするのか。
「二重に給付したお金は、不当利得となります。本来、振込まれるべきものではありませんので、法的にも返金しなくてはなりません。返金を拒否された場合は、市の職員が自宅まで赴いて、対応することになるでしょう。件数は分かりませんが、すでに市役所に来ていただいて、給付金を返金した方もいらっしゃいます」(同)
給付金の二重支払いは、福島県の天栄村でも起きている。対象者5561人の21%に当たる375世帯1162人分の計1億1620万円を二重に振込んだという。
天栄村の担当者によると、
「5月29日までに1億1550万円が返金されています。あと70万円、4世帯分が未回収となっています」
全て返金されれば何の問題もない。
しかし、誤って振込まれたことを知らずに使ってしまう人、行政ミスなのだから返金する必要はないと言い出す人がいてもおかしくはない。この場合はどうなるのだろうか。
「寝屋川市の給付金の二重振込みは、誤振込みと同じです」
と解説するのは、紀藤正樹弁護士である。
「AがBに5000円送金するところを誤って1万円送ってしまった。Bは誤振込みと知らずに使ってしまっても、これは犯罪にはなりません。刑事罰にはならないのです。ただ、不当利得になり、Bが誤振込みされた5000円をどうしても返してくれない時は、民事で訴えることができます。いわゆる『不当利得返還請求訴訟』ですね。民事で訴えられると、Bは負けますね」
もっとも、誤振込みとわかっていながら使い込んだ場合は、罪に問われるという。
「他人のお金であることを知っていて故意に引き出せば、詐欺罪になる可能性があります。誤振込みと知りながら預金から引き出したケースでは、2003年の最高裁判決で詐欺罪が成立しています」(同)
新型コロナ禍による給付金の二重振込みは、日本だけではないという。
「カナダも、新型コロナのための給付金を二重に給付したケースがあります。誤振込みの返還については、取り敢えず保留して、その金は使わないように依頼しています。時期が来れば返還してもらうつもりのようですね」(同)
寝屋川市は993件と数も多く、回収は大変だ。
「今回は行政のミスですので、返金してもらうにしても、返金のための手続きなど労力がかかり、住民にも迷惑がかかる。回収する際に500円くらいの金券カードをお渡しするくらいの配慮はあってもよい気がします」(同)
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