コロナ禍の怪 映画興行ランキングで2週連続1位になった“あまりに意外な作品”

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「確実に収益が見込める作品」

 クレジットなどによると、幸福の科学出版の製作で、主演はかつて清水富美加の名前でタレント活動を行っていた千眼美子(25)だ。

 彼女は2017年、幸福の科学の信者であることを公表。所属事務所を辞め、後に幸福の科学が設立した事務所に移籍した。

 監督は「小田正鏡」と記載されている。調べてみると幸福の科学出版から著作『感動を与える演技論』を上梓している。Amazonに掲載された略歴を見ると、《1951年生まれ。富山県出身。日本大学芸術学部映画学科を卒業》とある。

 ということで、映画好きでなくとも、「幸福の科学の映画か」と腑に落ちただろう。一部の“好事家”が熱心に鑑賞したりしているとはいえ、基本は教団が信者のために作った映画だろう。

 内容を少しだけ紹介しよう。公式サイトから引用させていただこう。まずは「イントロダクション」だ。

《「憑依」「ポルターガイスト」「自殺霊」「地縛霊」……誰もが経験しうる心霊現象の謎を解き明かし、人生の幸不幸を引き寄せる「心の法則」、悪霊に取り憑かれないための方法、そして悪魔との対決までを描きだす“リアル・エクソシスト”映画が誕生した。

 大川隆法製作総指揮・原作の最新作では、長年の霊的体験やスピリチュアルな検証に裏付けられた驚くべきストーリーが展開する》

 次は「ストーリー」だ。

《東京の片隅にある喫茶「エクストラ」(略)この店でアルバイトをしているサユリのもとには、さまざまな悩みを抱えた人たちが訪れる。そして彼女は“不思議な力”を使って、次つぎと悩みを解決していく。目に見えない世界の真実に触れることで、人びとの心に光が灯っていく。しかし、そんな活躍を続けているサユリに、邪悪な存在が立ちはだかる……》

 このアルバイトの《サユリ》を、千眼美子が演じているというわけだ。

 そもそも幸福の科学は90年代から映画製作を積極的に展開してきた。業界関係者が解説する。

「『心霊喫茶』は幸福の科学が製作した映画としては18作目だとされています。信者が大量に前売り券を購入してくれるので、配給サイドにとっては確実に収益が望める作品になります。かつては東映が配給していましたが、トラブルがあって決別したと言われています。現在は日活が担当することが多いようです」

 映画「心霊喫茶」は19年11月、一部メディアが「20年5月公開予定」と報じていた。新型コロナウイルスの間隙を縫うように、ほぼスケジュール通りに進んだことになる。

 新型コロナをものともせず、幸福の科学の信者は映画館やシネコンに足を運んだということか。

 ライブハウスやクラブと違い、映画館で客は大声を上げたり、身体を動かしたりするわけではない。飛沫感染のリスクは低く、一部の映画館は換気に力を入れたり、席の間隔を空けたりするなどの対策も講じてきた。

 そうは言っても、映画館やシネコンを“三密”の代表例と受け止める人も、決して少なくないだろう。それでも多くの観客が密閉空間の中で映画を観たのだ。なかなか考えさせられる話である。

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