芸能人の政治的発言、Twitterは避けては(KAZUYA)

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 芸能人と政治的発信の関係について考えさせられる出来事がありました。

 5月10日前後に、Twitterに「#検察庁法改正案に抗議します」というハッシュタグを使用したツイートが数百万件寄せられたとして報道等でも大きな話題になりました。

 これまで政治的発言をしてこなかった芸能人や、「またこいつか」と思ってしまう常連芸能人もタグを利用して発信したことがより話題を呼びます。しかし、スパム認定されないように「あ」「い」など1文字プラスハッシュタグでも投稿して数を水増しする人がいたため、実際に数百万人が投稿したとは思えませんが、大きなうねりを起こしたのは事実です。

 政治の話題は賛否両論が発生しやすい分野です。もちろん日本社会には言論の自由がありますし、芸能人だろうがなんだろうが自由に意見を表明しても、何ら問題ありません。

 しかし政治的発言をするなら、反発や批判を覚悟の上でやる必要があるでしょう。

 芸能人は知名度が高いですし、発信がネットニュースなどに取り上げられ、余計に注目を集めます。

 そもそもTwitterのような140文字しか書き込めないシステムを考えると、どうしても言葉は鋭く、そして一方的になりやすいもので、とてもじゃありませんが真っ当な政治議論ができるとは思えません。あるのは意見の押し付けと罵りです。

 多くを語る場ではないからこそ、説明不足になって「お前はわかっていない」というような批判も出てきますし、余計な憶測や陰謀論も出てきます。ただ、そうやって批判している人も本当にわかっているのかは疑問ですが……。

 芸能人が政治的発信をしても、熱狂的なファンは盲信的なので離れることはないでしょう。離れるとしたらよほど過激な政治的発言をした時くらいです。

 なのでそこはあまり気にする必要はないのですが、テレビなどで見て、なんとなく好印象を持っているくらいの人は政治的発言で離れることもあるでしょう。

 芸能活動は広く支持を得ることが重要で、マイナスイメージを持たれると仕事にも影響が出ます。政治的発言は「色」が付いてしまう可能性が高いですし、だからこそビジネス的な視点で考えると一種のタブーになるのは当然です。

 今回の件だと、ざっくり言えば政権を批判的に見ている人からは賛同と賞賛が得られ、政権を支持している人からは批判と罵倒が寄せられました。

 政権を批判的に見ている人は、「安倍が悪いことやっているに違いない」というところから思考を始めます。支持派は逆に「また反安倍が騒いでいるだけだろう」と見ます。出発点からズレているので、両者がわかり合うことはありません。

 本来は是々非々で判断したらいい話なのですが、意見の押し付け合いが続くばかりで、単純にはいかないのがTwitterの難しいところです。芸能人が政治的発信をするにしてもTwitterは避け、もう少し自分の思いを詳細に説明できる場でやった方が賢明でしょう。

KAZUYA
1988年生まれ、北海道出身。2012年、YouTubeで「KAZUYA Channel」を開設し、政治や安全保障に関する話題をほぼ毎日投稿。チャンネル登録者71万人、総視聴数は1億4千万回を超える。近著に『日本人が知っておくべき「日本国憲法」の話』(KKベストセラーズ)

週刊新潮 2020年5月28日号掲載

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