「新型コロナ危機」で高まる「武力紛争」の複合性 「平和構築」最前線を考える(17)
国連安全保障理事会が、「新型コロナウイルス」危機における世界の紛争の停戦呼びかけ決議の採択を断念した。WHO(世界保健機関)の位置づけについて、米中対立が深かったからだと伝えられている。
このことに喜ばしいことは何もない。ただし、国連安保理が停戦呼びかけ決議を採択すると、実際に世界の武力紛争が止まるのか、と言えば、そんなことはないだろう。混乱する世界情勢の中で、国連安保理にも動揺が見られるということだ。
前回の拙稿(2020年5月1日『「国連事務総長」の訴え空しく「新型コロナ」が悪化させる「国際紛争」』)でも書いたとおり、新型コロナ危機下において、武力紛争をめぐる状況が悪化する傾向がある。...