吉村府知事は「何とか実現を」夏の甲子園は中止でプロは開幕、決定を分けた事情

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代替大会の開催模索が続く

 日本高野連は5月20日、第102回全国高校野球選手権大会の中止を発表。その理由として、大会期間が2週間以上に及ぶこと、代表校が全国から移動し、集団で宿泊することなどの感染リスクを挙げた。“夏の甲子園”の代表を決める地方大会中止についても、感染リスクのほか、学業への支障、医療スタッフの不足などを理由としているのだが、そのあとにプロ野球の開幕が決定したこともあり、ホントのところは一体……という声が上がっている。

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 この発表を受け、例えば、“地元”の吉村洋文大阪府知事は、

「僕自身はやってほしかった。高野連はリスクをとるべきではないか。考え直してほしい」
 大会開催は球児の進路にも関わるとして、「何とか実現できなかったのか」

「コロナの感染症対策をとりながら、何とか自分たちが目標として夢として追いかけてきたもの、大阪大会は実現できないかという思いです」
 と話した。

 国民にチグハグな印象を与えたのは、緊急事態宣言が首都圏の1都3県と北海道で解除された25日に、プロ野球の開幕が「6月19日」と決まったこと。当面は観客を入れずに試合を行い、レギュラーシーズン120試合の実施を目指すという。

 プロと高校生を一緒くたにはできないと言ってしまえばそれまでだが、高野連の決定に“反発”し、各地で代替大会の開催が模索され、萩生田文科相もその動きをサポートする発言を行っている。

「高野連が挙げた中止理由もよくわかりますが、カネのことについてもちゃんと見ておいた方がいいと思いますよ。仮にやるとしても無観客試合になるわけで、入場料収入をどうするかという問題はあったはずです」
 と、球界関係者。

「もちろん、プロの方が無観客はツラいですが、コロナ禍の状況がよくなっていけば観客を入れることもできる。野球ファンはその日のためなら多少の自粛も厭わないでしょう。コミッショナーも開幕で夢を与えると言っていますしね」

 プロ野球には無観客の場合のチケット収入の損失とは別に、球団によっては負担しなければならない球場使用料がある。年に数十億単位になるからこれはこれで厄介だ。

 では、夏の甲子園について見てみよう。

 2019年の収支決算を確認すると、総入場者数は84万1000人で、うち有料入場者数は72万5183人。収入は6億 5907万426円、支出は4億4415万9967円で、差し引き2億1491万459円の剰余金が出ている。

 大会日が2日増えた18年、つまり100回記念大会の総入場者数は史上最多の101万5000人。うち有料入場者数は87万8833人で、収入は7億8236万4046円、支出は5億5191万5807円で、差し引き2億3044万8239円の剰余金となっている。

 全ての年を追いかけたわけではないが、年に2億円ほどの剰余金が出るイベントだということになる。もちろんこの剰余金は高校野球の振興に関わる基金や事業費に配分されるのだが。

「チケット収入の6~7億円がなくなることと、それこそ開催して高野連の言うような感染リスクとか熱中症などの観戦リスクもあったりして、かなり大変な大会になることはやる前から見えている。その火中の栗を拾えるかどうか、ということだったのかもしれないですね」(先の関係者)

週刊新潮WEB取材班

2020年5月26日掲載

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