コロナで「ロックダウンは必要なかった」 英大学研究チームの衝撃論文

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 確かに奇妙な話ではある。“外出自粛”止まりの日本よりも、なぜ厳格な“ロックダウン”に踏み切った国々の方が感染者や死亡者が多いのか。その答えとなりそうな研究論文がもたらされた。曰く、ロックダウンは必要なかった――。

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 衝撃の論文を発表したのは、英イースト・アングリア大学の研究チームである。イギリスやドイツ、フランスを含む欧州30カ国を対象に、店舗への休業命令などのコロナ対策の効果について統計的に分析したという。

 その結論を抜粋すると、

〈大規模集会(音楽祭やスポーツイベント)や教育機関の休校については、介入後の日数が増えるにしたがって感染者が減っている〉

 その一方で、

〈ロックダウンは日数が延びるにつれて、感染者数が増加。外出禁止が感染拡大を抑制するのに必要でない可能性を示している〉

 これが事実であれば、小池都知事が繰り返してきた「ステイホーム」など全くの無意味。むしろ、感染拡大にひと役買っていた可能性すらあるのだ。

 同様の主張はアメリカからも聞こえてくる。4月下旬、カリフォルニア州で救急クリニックを経営する2人の医師が会見を開き、概ね次のように語った。

〈このウイルスは思ったよりも致死率が低い〉〈高齢だったり、重大な持病や免疫不全を抱えている人だけ外出を制限するべき〉〈新型コロナウイルスで死ぬ人がいても、残りの人は集団免疫を獲得する。外出制限を続ける必要はない〉

 これまでの常識を覆すような英米からの指摘だが、

「こうした見解には頷ける点も少なくありません」

 とは、心療内科、循環器科医で、大阪大人間科学研究科未来共創センター招聘教授の石蔵文信氏。

「厳格なロックダウンを敢行したイタリアやスペイン、アメリカではいまだに感染者数や死亡者数が多い。イタリアは3月9日にロックダウンしましたが、5月以降も連日200人近い死者を出している。無論、ロックダウンしなければ感染者はさらに増えていたとの見方もあります。ただ、外出禁止となったイタリアでは、家庭内感染によって高齢者の死亡が相次いだとも伝えられています」

健康な人は外出を

 日本でも極度に感染を恐れて“巣ごもり生活”に固執する向きも少なくない。だが、そこには大きな誤解がある。京都大学ウイルス・再生医科学研究所の宮沢孝幸准教授によれば、

「新型コロナウイルスで注意すべきは主に飛沫感染と接触感染で、空気感染はほとんど起こりません。道端で感染者とすれ違うくらいでは感染の心配はないのです。仮に通勤電車で感染者と乗り合わせたとしても、マスクをしていれば、感染者が大声でも上げない限り感染を恐れる必要はないし、実際、満員電車で感染が拡大した例は報告されていません。たとえば、ひとり客ばかりのラーメン屋のカウンターでは、横に飛沫が飛び散る危険性はないので、わざわざ一席飛ばしに座らなくても大丈夫です」

 ただし、と宮沢氏が付け加えるには、

「専門家会議の示す対策は、感染者を限りなくゼロにすることを目指しています。しかし、どれだけ逃げ回っても、このウイルスを地球上から消し去ることは不可能です。それならば、経済的な影響も考慮し、集団免疫を獲得して解決を急ぐことを考えてもいい。高齢者や基礎疾患のある人たちにはあらかじめ自粛を要請しつつ、若くて健康な人には外出を促して感染を早めてもらう。このまま外出規制を続けても最終的にトータルの死者数はほぼ同じだと思います」

 外出が収束への近道!? 自粛疲れがピークに達したいま、一考の余地ありか。

週刊新潮 2020年5月28日号掲載

特集「『コロナ』虚飾の王冠」より

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