実は15年前からある「オンライン葬儀」 コロナ禍で需要急増の背景にお手頃な料金

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色物扱い

 料金は、通夜、葬儀、納棺の儀のライブ配信がセットで2万9800円(税別)とお手頃である。

「ご遺族にQRコードを印刷したカードを配布、オンライン参加者にラインやメールなどで送ってもらっています。通夜と葬儀がそれぞれ1時間、納棺の儀は30分です。2日間に渡って配信されます」(同)

『お葬式ライブ』は限定URLで、YouTube Liveにて公開される。映像は、葬儀後7日間(初七日法要まで)視聴できるという。

 映像の配信だけでなく、香典や弔電、供花などもオンラインで送ることも可能だ。

「香典は、3000円、5000円、1万円の3種類で、手数料500円と消費税がかかります。香典袋に指定金額を入れ、筆文字にてお名前を記名し、ご遺族にお渡しします。弔電は1500円と3000円の2種類で、3000円はお線香がつきます。もちろん生花も手配できます。1万2000円と1万5000円、2万円の3種類です。すべてオンラインストアでクレジットやペイペイなどのキャッシュレス決済となります」(同)

 実は、コロナ禍以前から、葬儀のオンライン配信サービスを行っていたという。

「2017年にもオンライン配信サービスを行ったことがあります。ところが、当時は色物扱いされました。オンライン葬儀なんて不謹慎だということでしょう。故人に対して失礼だと考える方も少なくなかったと思います。それが、コロナで意識がガラっと変わったのではないでしょうか」(同)

「オンライン葬儀は、15年前から一部の業者が行っていました。遠隔地で参加できない人のために、インターネットで中継していたのです。これまではあまりうまくいっているという話は聞きませんでしたが、今年の3月以降需要が出てきました。そして4月の緊急事態宣言以降に急速に増えています」

 と解説するのは、葬送ジャーナリストの碑文谷創氏である。

「戦争中、日本では葬儀を行う人はほとんどいなかった。それが戦後、高度成長化して国民が裕福になるにつれ、派手に行われるようになりました。バブルの頃は葬儀の参列者の平均が280人でした。ところが、2008年のリーマンショック以降、葬儀がどんどん小型化してきたのです。コロナ以前は全国平均で40~50人にまで減少しています。コロナ以後は、多くても20人くらいです。ハーバード大学は、新型コロナは第2、第3の波が来て、収束するのは2022年の上半期と予測。コロナのワクチンができるのは、早くて1年半後と言われています。それまでは、公衆衛生的な対処が必要となりますから、オンライン葬儀の需要は増えるでしょう。ただ、コロナ禍が収束した後どうなるかはわかりませんがね」

週刊新潮WEB取材班

2020年5月25日掲載

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