コロナ禍で「就活戦線」はこう変わる 27歳女性執行役員の告白

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学生の内定率は前年よりもアップ

 ベンチャー企業で人事を束ねる、27歳執行役員の女性が見たコロナ禍の就活戦線。自らも採用現場の前線に立ち続ける立場から、コロナ禍の影響を切り抜けた後の採用市場についても展望する。

 新型コロナの影響を受け、2020年2月、株式会社リクルートキャリアを筆頭に人材大手企業は続々と「2021合同企業説明会」を中止した。合同説明会だけではなく、自社の採用においても、ただでさえ有効求人倍率が1・6倍を超えるこの売り手市場の時代に待ったがかかったのだ。

 当然のことながら、人事担当者はこの状況で対応に追われたことだろう。

・会場のキャンセル
・対面面接のキャンセル
・業界によっては採用数の見直しもあったかもしれない
・4月の入社式や新人研修のスケジュールの再設定
・オンラインでの採用や研修の構築
・人事チーム自体が在宅になったことのインフラ整備

 などなど。

 ところで、この未曾有の緊急事態でも、採用がうまくいっている企業とうまくいかなかった企業とがある。その違いはいったい何だったのだろうか。

 まずは、データを見てみよう。

株式会社ディスコのキャリタスリサーチによると、2021年卒の4月1日時点の内定率は34・7%。この数字は前年同時期の実績を8・3ポイント上回っている。この状況下でも、学生の内定取得率は前年よりも上がっているのだ。

 内定を得た学生が、当該企業のインターンシップに参加していた割合は67%となっており、企業インターンシップで早期に学生を囲い込んだ結果と見てよいだろう。

 一方で、学生側の「2021Webセミナー」の視聴経験は85・8%と大変高い。(前年比134・6%)。ライブ配信とオンデマンド配信を合わせると平均して11・5社視聴している(前年比157%)。

 就活学生の話を聞いていて驚いたのは、Web面接用に顔を照らす照明を購入している人もいたことだ。若いだけあって、世の中の変化への対応スピードが速い。そう、この「スピードが速い」ということが根本的に大事なことである。

 インターンシップにしても、面接のオンライン化にしても、大事なことは、時代の状況に合わせた採用戦略の柔軟な対応とそのスピードである。

 ちなみに私が勤める会社の採用において、応募者のエントリー数はコロナの影響を全く受けていない。1年以上前からWeb面接を選考フローに導入し、採用の効率化と求職者との接点数最大化に注力してきたからだ。大手企業と比べネームバリューでまだまだ人を惹きつけられないベンチャー企業は、少ない工数で最大の効果を得るために常に新しい挑戦と工夫が必要なのである。

 そして、実際にこれが功を奏した。Web対応に遅れている企業よりもアドバンテージが働き採用は加速している状況だ。3月・4月を比較すると、オンライン会社説明会へのエントリー数は約2倍、書類選考の代わりに行っている応募者の自己PR動画のエントリー数は約5倍である。

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