「黒川検事長」マージャン同席で陳謝の「朝日新聞」 批判と擁護で揺れていた紙面

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「そもそも決済ラインにいない」

 使える紙面はできる限り使っての大批判だったわけだが、翌日の13日になると、アレ?という記事が出てくる。

《黒川検事長、人物像は 早くから総長候補/官房長や事務次官、7年超》の見出しで、こう続く。

〈出世コースとされる刑事局の課長や秘書課長などを歴任し、早くから総長候補として名前が挙がっていた。2010年の大阪地検証拠改ざん事件の後には、「検察の在り方検討会議」の事務局を務めるため、松山地検の検事正を2カ月余り務めただけで呼び戻されたエピソードも。異色さが際立つのは、民主党政権時代も含めて7年超にわたって官房長と事務次官を務めたことだ。この間、共謀罪法案や出入国管理法改正案の成立に関わった。いずれも安倍政権の肝いり法案だった。「危機管理能力が高く、与野党問わず相手の懐に飛び込むのにたけていた」(検察OB)〉

〈一方、この時期には小渕優子・元経済産業相や甘利明・元経済再生相ら「政治とカネ」にまつわる事件や疑惑が相次いで発覚したが、政治家本人はいずれも不起訴に。森友学園をめぐる公文書改ざん問題でも財務省幹部らが不起訴になった。こうした経緯があるため「黒川氏が事件をつぶしたのではないか」との観測もある。だが、複数の検察幹部は「事件に口を挟んだことはなく、そもそも決裁ラインにいない」と証言する〉

 さらに記事には〈黒川氏が「官邸に近い」と批判を浴びていることに「政治家の相手をやらせすぎた。我々も反省しないといけない」と話す〉というかつて上司だった検察OBの話や、黒川氏をよく知る別の検察OBの、〈「今回の問題でさらし者にされた黒川が犠牲者だ」とかばう〉といった擁護の声も見られる。

 永田町関係者によると、

「社論と言うと大仰ですが、朝日の中でも、『黒川問題』をどう扱うかというのは割れたようですね。13日の紙面は、黒川氏や検察を担当している勢力が進めたものでしょう。黒川氏の『官邸の守護神』とも評される部分をことごとく否定するようなトーンになっていますからね。検察は国税ほどじゃないにしても取材のハードルが高い。だから、何かありそうな時とか、何かあった時に、ウソはつかないとか何かしらヒントをくれる当局の人間は貴重なんです。そういう経験をしてきた人たちの中には、12日の紙面を使ったバッシングに納得がいかない者もいたんでしょうね」

 とはいえ、その彼らでさえ、5月1日に自社の社員が黒川氏とマージャンに興じていたとまでは知る由もなかったのだろう。

週刊新潮WEB取材班

2020年5月21日掲載

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