【コロナ禍】小池知事はなぜ都の「入院患者数」をごまかし「病床使用率」を隠すのか

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不都合な真実

 実は、厚労省のHPには5月6日以降、都内の入院患者数は1832人だと書かれていた。そうであれば中等症軽症の患者数が1700名を超え、用意された1600床は埋まって足りない計算だ。そこで、あらためて都の感染症対策課に尋ねたが、その説明には唖然とするほかない。

「1832人という数字は、退院者の引き算ができていない未調整のものです。退院という言葉には、医療機関を経由して解放された人も、自宅療養や宿泊療養を解かれた人も入っています。また病床数も2千となっていますが、実際には5月11日現在、3300床が確保されています。厚労省にも退院者を含む数字だと伝えたのですが……」

 だが、厚労省の発表を記事にした共同通信社は、早速、〈ベッドの使用率が最も高いのは東京で約92%〉と報じてしまった。

 いずれにせよ、都が公表していた数字は、われわれが命を削って自粛すべき根拠であったはずが、ウソで塗り固められていた。現実には、中等症軽症についても、大阪府よりはるかに状況がよさそうなのである。

 それにしても、なぜ東京都は入院患者数をごまかし続けるのか。さる医療ジャーナリストが疑念を抱く。

「小池知事は感染者がどれだけ減少しても“手を緩めてはいけない”と発言し続け、内部留保が9千億円もある都の豊かな財政を背景に、休業した事業者向けに、周辺の県には不可能な額の支援金を用意し、人気とりに興じています。自粛が必要ないほど病床に余裕があるという事実は、彼女には不都合な真実だったのではないでしょうか」

 ここは小池知事に質すしかあるまい。都庁で動画収録を終えた知事が、ぶら下がりの取材に応じた際、

週刊新潮ですが、都のデータでは現在の病床使用率がわかりません。なぜ公表されないのでしょうか」

 と声をかけたが、記者に一瞥もくれず、止めてあった白いワゴン車に乗り込んでいった。翌日、政策企画局の政策広報担当から、

「精査を終えた数字は速やかに公表します。病床数については必要数を常に確保しており、逼迫した状況とはなっておりません」

 との回答が届いた。だが、3月下旬の3連休前、五輪を気にして手を打たず、感染拡大させた張本人が、命を削る自粛を強いながらも、その前提となる数字を示さないのは、都民ひいては国民への背信行為。徹底的な検証が不可避であろう。

週刊新潮 2020年5月21日号掲載

特集「『コロナ』見えすぎる敵」より

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