【コロナ禍】テツたちの“おうち時間”の楽しみ方 鉄道会社はオンライン素材で知恵比べ

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銚子電鉄のぬれ煎餅

 運賃外収入を稼ぐことで有名な鉄道会社といえば、千葉県の銚子電気鉄道(以下、銚子電鉄)が有名だ。

 銚子電鉄は、2006年に経営危機に陥った。この危機を乗り越えるため、銚子電鉄は同社で販売している“ぬれ煎餅”の購入をインターネット上で呼びかけた。

 銚子電鉄の叫びは、2ちゃんねる(現・5ちゃんねる)に転載された。それが話題を呼び、テレビ・新聞・雑誌などで銚子電鉄のぬれ煎餅は大きく取り上げられる。話題になったことで、全国からぬれ煎餅を買い求めるファンが殺到。その収入によって、銚子電鉄は経営危機を脱した。

 その後も、たびたび銚子電鉄は経営難に直面した。そのたびに物販の収入で凌いできた。
 コロナ禍は銚子電鉄の経営にも陰を落としているが、銚子電鉄は自社HPであらゆるものを販売してコロナ禍を乗り越えようとしている。以前から運賃外収入の拡大に取り組んできた銚子電鉄には一日の長があり、物販の売り上げが鉄道本体を支える。

 そうした銚子電鉄の奮闘が各地のローカル鉄道にも伝わり、コロナ禍では富山県の富山地方鉄道、和歌山県の和歌山電鉄、愛媛県の伊予鉄道などがネットショップを積極的に展開するようになった。運賃外収入を拡大させる取り組みは、今後も他社へと波及していくことは間違いない。

 コロナ禍によって、宿泊業・飲食業の倒産が相次ぐ。鉄道会社も安穏としてはいられない。鉄道会社の模索と奮闘はつづく。

小川裕夫/フリーランスライター

週刊新潮WEB取材班編集

2020年5月18日掲載

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