コロナ禍でよみがえるマスクのトラウマ(中川淳一郎)
マスクこそ「思想」である! 私は4月第2週、「圧」に負けて外出時にはマスクをつけるようになりました。かなり遅いですが、さすがに周囲の人に無用な心配を与えるのもどうかと思ったので仕方なく。ここに至るまで、妙な見栄と美意識と、「思想」があったように思います。
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4月第4~5週になってまでつけていない人は、この3つが私よりも強いのでしょう。この頃は、外に出るとマスクをつけている人が大多数ですが、2~3割ほどつけていない人がいます。
世の中には「マスク不要論者」がそれなりの人数、存在します。それが日本や韓国では元々少なく、欧米各国ではほとんどでした。一体これはなぜかというと、今の私でも分かるのですが、「格好」「外見」としてのマスクが恥ずかしくてしょうがないんです。今でもそうです。自分にとって恥ずかしい格好ってあるじゃないですか。イケメンでもなんでもないのに余計な自尊心持ってるんじゃねーよ、ケッ。と思われるでしょうけど、私にとってそれは「水玉模様のシャツ」「ダウンジャケット」「ネクタイ」「旅館の浴衣」「チョッキ」、そして「マスク」です。
とにかくこれらの格好をしている自分がたまらなくイヤなんですよ。自意識過剰なのは分かるのですが、あぁなんでオレこんなにダサい格好しているんだよ。普段のオレはもっとまともな格好しているんですからね、ねっねっ、皆さん、そこんところ知っておいてね、なんて誰も気にしていないのに思ってしまいます。
こうした感覚はなかなか理解してもらえないでしょうが、東日本大震災の時の蓮舫議員の姿を見て、私は「あなたとは考えが合いそうだ!」と思いました。閣僚が厳しい表情を浮かべて緊急対策会議に次々と駆け付ける時、全員が青い作業服を着ていました。その中で蓮舫さんだけは作業服の襟をバシッ! と立てていたんですよ。彼女は普段のスーツの時も襟を立てていますが、作業服をそのまま着ることに強烈な嫌悪感を覚えたのかと思います。
勝手な想像ですが、秘書が「これを着てください」と手渡してきた時、「これ、本当に着なくちゃいけないの? だって私、瓦礫の撤去するワケじゃないのよ?」と言ったかもしれない。「着てください。決まりです」と言われ、渋々従うも、「何よこれ、イベントスタッフのバイトみたいじゃないのよ~」とも思い、抵抗と恥ずかしさを少しでも減らすために襟を立てたのでは。蓮舫さんはパーティーの「来賓が胸につける花」や「名札」も嫌いだと思います。なぜなら私も嫌いだからです。
さて、なぜマスクがここまでイヤになったかということをご説明いたします。原因は『包丁人味平』という漫画に登場した鼻田香作。「カレー将軍」と呼ばれるこいつ、鼻にマスクをつけていて、「ブラックカレー」なるものを大ヒットさせる。たいしてウマくもないのに客が毎日食べに来ますが、実はこれには麻薬が入っており、鼻田自身も薬物依存で最後は狂ってしまう、というキャラでした。こいつを見て「マスクだけはつけない」という思想を抱いて40年、コロナはそれをいとも簡単に破壊してくれました。