春ドラマの勝ち組「捜査一課長」 最大の要因はクセになる「内藤剛志」ベタな演技

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見得を切る捜査一課長

「一方、内藤さんの演じる一課長は、あくまでも組織の束ね役ですから、現場で大活躍というわけではありません。ですが、締めるときは締める“決め台詞”があります」(同)

 一課長が捜査員を前に叫ぶ、《必ず!ホシを!あげるっ!》というアレか。

「『水戸黄門』の《この印籠が目に入らぬか》、『遠山の金さん』の《この桜吹雪がすべてお見通しでい!》などと一緒、日本人が大好きな手法です。加えて勧善懲悪は、現代では警察モノにぴったりですからね。歌舞伎で見得を切るのと一緒で、観客は“待ってました!”となるわけです」(同)

 もっとも“内藤”一課長の決め台詞は、立て板に水というよりも、なんだか途切れ途切れな感じがする。

「あれだけのキャリアのある内藤さんにしては、棒読み調な感じもしますが、敢えてそうしているのではないでしょうか。石原裕次郎や高倉健といった映画スターを格好いいとは思っても、上手いとは思わないように、主役はこれでいいと割り切っているかもしれません。彼は日大芸術学部映画学科(中退)から文学座へ進んだ俊英ですが、80年公開の映画『ヒポクラテスたち』(大森一樹監督)でデビュー以来、長く下積みを続けました。刑事ドラマのも数多く出演していましたが、犯人役ばかりでしたね。それが一変したのは『家なき子』(94年・日本テレビ)でした。安達祐実の飲んだくれでどうしようもない父親役を演じて一気に顔を広めました。そういえば、このドラマも《同情するなら金をくれ!》の決め台詞がありましたね。その後、彼は『水戸黄門』(TBS)の里見浩太朗さんのご隠居時代に、2代目“風車の弥七”を地上波でのレギュラーが終了するまで演じました。まさにベタの現場を知り尽くしているわけです」(同)

「水戸黄門」の最終回は11年12月19日だった。翌年から「捜査一課長」として、警視庁を指揮することになる。

「特番ではそこそこの数字を取っていましたが、レギュラー化したSeason1(16年4月)の平均視聴率は10・6%とやや苦戦しました。それでもSeason2(17年4月)は12・5%、Season3(18年4月)で12・8%と数字を上げていきました。そして2年のブランクを経た今年、放送されているSeason4は、さらに勢いを増しているわけです」(同)

 他のドラマは撮影が進まず、苦しんでいるのに……。

「昨年1年間、この枠はずっと『科捜研』でしたからね、その間に少し早めにクランクインすることで、現在放送中のSeason4はストックがあるのでしょう」(同)

 確かに、出演陣の服装を見ると、冬物のようにも見える。だが、内藤は「科捜研」にも土門刑事として出演していたではないか。

「そこが彼のすごいところですよね。『科捜研』では昨年12月頃、“さらば、土門刑事”や“土門最後の事件”という回の後、数回休んだことがありましたが……」(同)

 その頃、「捜査一課長」を撮影していたのだろうか。

「そうかもしれません。ですが『捜査一課長』は今年1月3日にスペシャル番組を放送しましたし、2月2日に放送された2時間ドラマ『全身刑事』(テレ朝)の主演もしていました。つまり彼は、5期連続で同じ枠の連ドラに出演しながら、複数の単発ドラマ主演もこなしていたわけです」(同)

 内藤剛志、恐るべし……。

週刊新潮WEB取材班

2020年5月14日掲載

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