春ドラマの勝ち組「捜査一課長」 最大の要因はクセになる「内藤剛志」ベタな演技

エンタメ 芸能

  • ブックマーク

 コロナ禍の影響で放送開始を遅らせている春ドラマは、緊急事態宣言の延長により、いよいよ先が見えなくなった。そんな中、ひとり気を吐いているのが、大岩捜査一課長こと内藤剛志(64)主演の「警視庁 捜査一課長2020」(テレビ朝日)だ。4月9日に予定通りスタートし、5月7日には無事に第5話も放送。しかも視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)は、全話13%超で、直近では2週続けて14%超と上り調子である。何がそんなにウケているのか。

 ***

 各局が連ドラの4月スタートを見送る中、テレ朝は定通り開始したドラマが多かった。ところが、それもここへ来て、息切れに……。

 第4シリーズを迎えた「家政夫のミタゾノ」(主演:松岡昌宏)は、5月8日放送予定の第3話を延期。15日からは過去の傑作選に変更した。

 第3シリーズの「特捜9」(主演:井ノ原快彦)は、5月6日から傑作選に切り替えた。

 浜崎あゆみをモデルにしたドラマ「M 愛すべき人がいて」(主演:安斉かれん、三浦翔平)は5月9日放送予定だった4話を延期し、“1話リミックスバージョン”として再放送……。

 それらを尻目に、独走状態を続けているのが「警視庁 捜査一課長」第4シリーズだ。これまでの視聴率を見てみると、第1話が13・3%、第2話が13・8%、第3話が13・9%、第4話が14・5%、そして第5話が14・2%と絶好調なのである。民放プロデューサーは言う。

「もともと『捜査一課長』は、2時間ドラマの先駆け“土ワイ”こと『土曜ワイド劇場』の単発ドラマとして12年に放送され、それが好評だったので15年までに5本が放送され、16年4月からレギュラーに昇格しました。こうした経緯は『相棒』と同じです。いずれも、“東映枠”で放送されていますが、同じ東映でも水曜9時の『相棒』(主演:水谷豊)が東京枠と言われるのに対し、木曜8時の『捜査一課長』は、同じ枠で放送されている『科捜研の女』(主演:沢口靖子)に代表される“京都枠”と呼ばれています」

 警視庁が舞台なのに京都スタッフだったのか。言われてみれば、同じ警察ドラマでも、「捜査一課長」は「相棒」よりも「科捜研」の雰囲気に近いような……。

「もちろん東京が舞台なので都内ロケが多いのですが、『科捜研』と同じ監督もいますからね。両者に共通するのは“ベタ”、しかも“手練れのベタ”でしょう。『科捜研』では沢口演じるマリコが、事件に向き合うと他人の目も気にせず猪突猛進する姿は、『捜査一課長』の斉藤由貴(53)演じる“大福”が会議も無視して捜査に没頭する姿と重なります。斉藤が不倫問題で出演しなかったSeason3には、内藤とは『家なき子』以来の共演となった安達祐実は“最中”、田中美佐子の“ババロア”、宮崎美子の“チョコ”なんて菓子にちなんだニックネームも話題になりました。こうした言葉遊びは、タイトルで毎週笑わせてくれた『科捜研』と通じるものがあります」(同)

 今期の「捜査一課長」は、さらに遊びの要素が強化されているという。

「キャストの名前に遊び要素が増えています。例えば、4月23日放送の第3話“3割引シール殺人!? 絶対怒らないクレーム処理女の謎”で、スーパーの苦情係を演じた杉田かおるの役名は九条菊子(苦情聞く子)。30日放送の第4話“殺人犯は餃子好き!? 東京~九州1000キロ食べ歩く女の謎”で被害者となる中華料理店主を演じた野添義弘は堤太蔵(包みたいぞー)、その妻を演じた栗田よう子は堤益代(包みますよ)、餃子店員を演じた三倉佳奈には韮崎久仁子(ニラさき)といった具合です。第5話では何もないのかと思ったら、仲よし3人の女性は赤堀、青崎、緑沢で、他にも黒崎、灰田、茶谷と名字を色とりどりで揃えていました。そうしたことに捜査関係者はまったく触れず、ドラマが進行していくのも、謎かけをされているような楽しみがあります」(同)

次ページ:見得を切る捜査一課長

前へ 1 2 次へ

[1/2ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。