コロナめぐる小池知事の不都合な真実 自宅療養・退院者まで「入院」扱いのごまかし

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 東京都の新型コロナウイルスでの患者数は、用意された病院のベッド数をはるかに上回り、その割合は131%――。NHK集計の「新型コロナ対応のベッド数と入院患者数データ」から見えてくるのは、2位の北海道と石川県の81%をはるかに上回る、都の“医療崩壊”具合である。ところが、ここにはカラクリがあった。

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 東京都の「新型コロナ対応ベッド数」は2000床であるのに対し、入院中の患者数(入院必要な人含む)」は2619人。ゆえに131%というダントツの数字が出ているわけだが、東京都感染症対策課に聞くと、

「都のホームページには、入院中の患者さんは5月7日時点で2679人と記されています。このうち重症の方は87人で、全員が入院されています。一方、軽症中等症の方は2592人ですが、入院されている方、ご自宅にいる方、ホテルにいる方をまとめた数字になっています」

 との答え。つまり131%は、自宅療養者も宿泊療養者も「入院患者」に含めるという雑な集計ゆえの数字なのだ。感染者数が多い他の道府県は、きちんと「自宅」「宿泊」を「入院」と分けてカウントしている。緊急事態宣言解除のカギとなる肝心の東京都の数字が、こんな雑なあり様なのだ。

 また大阪府は「重症者」「軽症中等症者」の病床使用率をそれぞれ32・4%、43・9%とホームページで公開している(5月7日現在)。対して東京都は「重症者」の使用率は21・7%だと取材に答えるものの、「中等症者」の病床がどれだけ埋まっているかについては「公表していません」(先の都の対策課)という対応だ。

 一方、厚労省は、5月6日以降、都内の入院患者数を1832人とHPで公表している。だが、この数字についても、都の説明には唖然とするほかない。

「1832人という数字は、退院者の引き算ができていない未調整のものです。退院という言葉には、医療機関を経由して解放された人も、自宅療養や宿泊療養を解かれた人も入っています」(同)

 ウソで塗り固められた“入院者数”……。東京都だけが、なぜこんなごまかしを行っているのか。さる医療ジャーナリストは、小池百合子都知事の“休業補償パフォーマンス”を踏まえ、こう読む。

「病床数が逼迫しているから自粛を、と訴えていたのに、現実には余裕があるとしたら、それは彼女には不都合な真実なのではないでしょうか」

 理由について、都庁でぶら下がり取材に応じた小池知事に尋ねるも、何も語らず。代わって政策企画局の担当者が、

「精査を終えた数字は速やかに公表します」

 と答えるのみだ。5月13日発売の週刊新潮では「『コロナ』見えすぎる敵」を大特集している。

週刊新潮 2020年5月21日号掲載

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