焼身自殺濃厚の練馬「とんかつ店主」 苦学で慶応、日大大学院を卒業したインテリの素顔

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 4月30日、東京都練馬区にあるとんかつ屋「まるとし」の店主、高山次郎さん(仮名)が全身火傷を負って亡くなった。享年54。高山さんは昨年、東京五輪の聖火ランナーに選ばれ、7月18日に練馬区内を走る予定だった。新型コロナで五輪が延期となり、さらに4月13日から店も臨時休業するなど、先行きを悲観していたというのだが……。

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 とんかつ屋から出火したのは、30日の午後10時頃だった。近所の住民がすぐに119番通報。消防隊員が駆け付けた時は、店の壁と床の一部が焼けていて、客席付近に高山さんが倒れていた。搬送先の病院で1時間半後に死亡が確認された。遺体にはとんかつ油を浴びたような跡があり、警察は自殺の可能性が高いとみている。遺書は発見されていない。

 高山さんは埼玉県戸田市出身。中学生の時に東京都板橋区に引っ越した。地元の高校を卒業後、法政大学の夜間部で経済学を学び、1989年にダイエーグループの金融会社に入社した。会社生活の傍ら、慶應大学経済学部の通信教育に学士入学。11年半かけて2001年3月に卒業した。卒業論文は、「日本の現代流通グループの実証分析―ダイエーグループ、イトーヨーカ堂グループ比較研究」だった。さらに01年4月には日本大学大学院総合社会情報研究科(通信制)に進み、03年3月に修了した。

 金融会社は92年に退職し、学生時代から付き合っていた女性と結婚。彼女の実家が経営するとんかつ屋「まるとし」に勤務するようになった。

 趣味はマラソンで、2005年に都内の市民マラソンに初めて参加。以後、全国のマラソン大会に参加するようになった。聖火ランナーに選ばれたことを、「夢のようだ」と語っていたという。

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