コロナでがん治療が延期、感染者受け入れで収益減 もうひとつの「医療崩壊」

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「利益率は3%」

「コロナ患者を受け入れて喜ぶ病院はないでしょう」

 とは、経営に詳しい医療関係者。病院の場合、“売り上げ”は治療ごとに国が定める診療報酬によって決まるが、

「売り上げという意味では、呼吸器科は柱になるものではありません。当然、高度な医療技術、器具を必要とされる治療が大きな収入源になり、循環器科、脳外科、がん治療などがその代表です。しかし、コロナの場合、PCR検査は民間でできるような検査ですし、人工呼吸器やECMOを使用しても、一病院あたりでは数も限られ、コロナ患者のために病床も空けなければならない。受け入れを増やせば、病院の収益が悪化するのは当然のことなのです」

 実際、都内で救命医療を担う大型病院では、

「感染を恐れてかかりつけの患者が減り、コロナ前に比べ、売り上げは2割ほど下がっています。どの病院でも支出のうち、削りにくい人件費が通常6割、良くても5割を占め、利益率は売り上げに対して3%もあればいいところ。これだけの売り上げ減には耐えられません」(同)

 全国医師連盟理事の榎木英介氏は、

「国家財政の悪化に伴い診療報酬は抑制される傾向にありました。加えて、消費税増税が病院経営の大きな負担になっています。医薬品の仕入れで消費税を負担しても、患者さんにはその分を要求できません。人口減で患者も減り、経営が苦しくなっていたのは事実です」

 そうした苦境に追い討ちをかけたのがコロナショックというわけである。

 先の医療関係者は、

「資金繰りが苦しくなれば、医療機関向けに無担保融資をしてくれる独立行政法人もあり、融資希望が殺到しています。しかし、売り上げが元に戻らなければ、返すアテもない。今後、“倒産”という病院が出てくる可能性が高いのです」

 かかりつけ医が突然いなくなる、という事態が目の前まで迫っているのだ。

週刊新潮 2020年5月7・14日号掲載

特集「『コロナ』光と影」より

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