コロナで廃業… 「老舗」「飲食店」が語る無念
最も必要な対策は「家賃」「固定資産税」免除
未曾有の疫禍が奪ったものは、患者の生命だけにとどまらない。長きにわたって人々に慕われた名店の数々も、無念のうちに廃業に追い込まれている。コロナ禍の最中に暖簾を下ろした老舗の胸中とは――。
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〈母と共に歌舞伎座へ入ると、先(ま)ず〔辨松(べんまつ)〕の五十銭の弁当を予約しておく。そのうれしさというものは少年の私にとって、まったく、
「こたえられない……」
ものだったといえよう〉
池波正太郎は『日曜日の万年筆』で、歌舞伎座前に本店を構える「木挽町(こびきちょう)辨松」についてこう綴っている。...