吉村大阪知事の後に続け… コロナ禍で知名度がアップした知事「6人」の横顔
仁坂吉伸・和歌山県知事(69)。4期目。報酬年間1801万円
和歌山県有田郡湯浅町にある地域医療の拠点「済生会有田病院」で2月13日以降、医師、入院患者ら11人が相次いで感染した。だが、3週間弱で通常業務を再開。県主導の素早い対応が功を奏した。
陣頭指揮を執ったのが仁坂知事。「37・5度以上の発熱が4日以上続く人はPCR検査を」という国の基準を無視し、あえて検査対象を広げたことなどが良かったとされる。また、有田病院の病院名も公表するまでには苦悩もあったが、感染拡大の防止を第一に考えた。
「(新型コロナ対策を)徹底的にやった」(仁坂知事)。
その後も感染の恐れのある人は半ば片っ端から検査。感染者数を抑え続けている。
仁坂知事は和歌山市生まれ。県下屈指の進学校である県立桐蔭高校を経て1974年に東大経済学部を卒業。当時の通産省に入省した。生活産業局総務課長、大臣官房審議官(通商政策局担当)、製造産業局次長、ブルネイ国大使を歴任した生粋のエリート。2006年に自民、公明両党の推薦を受けて知事選に出馬し、初当選した。
2017年、東京・上野動物園でパンダの赤ちゃん・シャンシャンが生まれ、マスコミ報道が過熱すると、同県白浜市のアドベンチャーワールドにもパンダがいることから、苦言を呈した。
「上野のシャンシャンしか世の中にいないのか、というくらいの浮かれようだ。最後に『和歌山にもいる』と一言くらい入れてくれたらいいのに」(仁坂知事)。
家族は夫人と1女。2015年度には「ベスト・プラウド・ファーザー賞 in 関西」に選ばれた。座右の銘は「誠心誠意」
大井川和彦・茨城県知事(56)1期目。年間報酬1978万円
春休み明けの4月8日、つくば市など独自に定めた感染拡大要注意市町村を除けば、県立校の学校再開は問題ないとし、授業を開始したところ、夫人の母校でもある名門校・県立日立一高の有志がストライキに突入。
同高の有志たちが県教育委員会などに送った通告書には「学校現場に関わる人すべてを守ることは明らかに緊急性を要している」と書かれており、県内外に波紋が広がった。
大井川知事は「教育崩壊を防ぐ」などと唱えていたが、同13日には一転して「14日から5月6日まで休校にする」と発表。その後、休校は5月末までに延長された。
教育は大井川県政の目玉の一つ。2020年度からの3年間で、県立高10校が中高一貫校に。茨城県には既に3校の県立中高一貫校があり、合計で13校となる。その数は都立の10校を上回る。
また、5校に医学部進学を目指す医学コースを新設。「茨城の進学実績が向上する」と歓迎する声がある一方で、急ピッチの改革と大学進学最優先に映るスタンスを危ぶむ意見もある。
2017年の知事選で初当選。6期目だった元自治官僚で現職の橋本昌氏(74)との事実上の一騎打ちに勝つ。橋本氏は元々、自民党推薦で知事になったが、後進に道を譲らず、多選を続けたことから、両者は袂を分かった。一方の大井川氏は自民、公明の両党から推薦を受けた。
大井川氏は県内屈指の名門校である水戸一高を経て東大法学部を1988年に卒業。当時の通産省に入り、同省の初代シンガポール事務所長、商務流通政策グループ政策調整官補佐を歴任。在職中に国費でワシントン大学ロースクールを修了した。
2003年に退職し、マイクロソフトアジアに執行役員として迎えられた。2010年にはシスコシステムズ合同会社に転じ、専務執行役員パブリックセクター事業担当に。2016年にはニコニコ動画を運営するドワンゴの取締役に就いた。
家族は弁護士の夫人と1女。座右の銘は「Where there's a will, there's a way.(意志あるところに道は開ける)」
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