昭和に起きたオンライン不正 「三和銀行横領事件」の顛末
「好きな人のためにやりました」。1981年(昭和56年)3月25日、三和銀行茨木支店(現・三菱UFJ銀行茨木支店)を舞台に、同支店の女子行員がオンライン端末を操作し、1億8千万円もの金を不正送金する事件が起きた。コンピュータのオンラインシステムを悪用した初めての犯罪だった。
逃亡先のフィリピン・マニラで、殺到するマスコミの取材に、笑顔でそう答えた妙齢の女性は一躍時の人となった。当時32歳の伊藤素子さんである。
彼女は高校卒業後、大阪府の三和銀行茨木支店で預金係として働いていた。...