精神科医が伝授「コロナ自粛」でも心身を病まない過ごし方 高齢者は危険

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 ウイルスを防ぎきれなかったとき、自粛要請に忠実な人ほど重症化しやすいとしたら――。そんな悲劇を招かないために、日々の過ごし方のコツを、老年精神医学が専門の和田秀樹氏が伝授する。

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 新型コロナウイルスによる重症者および死者は、高齢者に集中しています。ですから、いまの自粛要請は高齢者を守るためであるはずですが、自粛が続いて一番被害を受けるのは、実は高齢者です。

 高齢者が1カ月も家に閉じこもれば、足腰が弱ります。また、ぼんやり過ごして脳を使わずにいると、知的機能が衰えていく。そもそも我慢すること自体、老化の原因になるし、鬱になる危険性も高いのです。

 慶應大学病院の無症状来院者にPCR検査を行ったところ、6%が新型コロナへの陽性反応を示したとか。単純に推計すると、東京都内で現在だけでも、60万人以上が感染していることになりますが、亡くなったのは100名程度です。

 誤解を恐れずに言えば、その程度の病気なのに、全員を閉じ込めていたら健康な人の免疫力が落ちてしまう。残念ながら、現状は感染症の専門医の主張しか受け入れられず、精神医学や免疫学などの見解が考慮されません。その結果、感染リスクを減らすのと引き換えに、感染したら重症化しやすい生活パターンになってしまっています。

 感染症を広げないことは大事ですが、感染しても軽く済むにはどうしたらいいか。そのことも、そろそろ考える必要があります。

 では、いまの自粛生活をどう過ごすべきか。一般論で言えば、規則正しい生活を送り、質の高い食事で栄養状態を高める。加えて娯楽が大事で、心から笑うと免疫力が高まるのです。

 現在、テレビのお笑い番組は若者向けばかりなので、本当に笑える落語や漫才のDVDを見るのもいいでしょう。パソコンが使えれば、楽しめる娯楽も多いのですが、使えない方は、家族がサポートしてあげるといい。私が診ている認知症の患者さんも、パソコン相手に将棋を指している人は、意外に症状が進みません。

 会話も大事です。災害医療を通して、高齢者同士が集まって会話を交わすことが、その後の鬱病などを減らすことに寄与するとわかっているのに、いまは集まってはいけない。そこで電話の復活を提案します。

 飲み屋で話すような愚痴は、メールではなく、電話で言い合うといいでしょう。携帯電話の通話料も安くなっているので、「お前、閉じこもっているのか? 俺もだよ」などと長電話するといい。人の声を聞くだけでも安心するものです。

 読書なら、年をとると知っている著者の作品や、筋がわかるものしか読まなくなりがちなので、刺激を得るために未知の分野への挑戦を勧めます。官能小説もいい。トキメキが得られるからです。世俗の価値観に従うより、己を楽しませることが大事です。

 要は、快体験が大切なのです。たとえば、栄養状態が同じでも、「ウマい」と思えるものを食べたほうが免疫力は高まります。時には通販やテイクアウトなどで、豪華な食事を取り入れることも大事です。

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