【コロナ禍】緊急事態宣言解除ならず 小池知事の扇動で“命の経済”をいつまで止めるのか

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出口戦略がない

 閑話休題。現在、悲観論を煽るテレビの影響もあり、思考停止になっているのだろうか。緊急事態宣言について、たとえばネット上には〈連休明けの解除は自殺行為ですよ〉等々、経済に目が向かない発言が目立つ。だが、先の和田氏が、

「日本人の価値観は、コロナに感染して死なないためなら、ほかのどんな害を受け入れても平気だ、ということになっている」

 と嘆く状況が、健全であるはずがない。実は、感染症の専門家からも、出口戦略が大事だという声が高まっているのだ。国際医療福祉大の松本哲哉教授は、次のように訴える。

「今後は感染症対策と経済のバランスを考えなければいけないと思います。コロナは長期化する可能性があり、経済を無視した感染症対策では、われわれの生活の根源が揺るがされかねません。自粛の効果がある程度得られれば、十分に注意しながら、制限を緩めることも検討する必要が出てくるでしょう。たとえば飲食店なら、1組の滞在時間を1時間程度に制限する、近距離の対面を避ける、席の間隔を開ける、換気や消毒をする、など十分な工夫をこらしたうえで、営業時間を多少延ばすことも考えられる。ほかの業種についても、どう工夫すれば再開できるか検討すべきです」

 そして、こう添える。

「自粛を一部、緩めるためには、政府や自治体からの指針が欠かせません。最近は開業しているだけで非難されるケースも多く、明確な指針がないと、営業の自粛や再開の判断ができない店舗が多いと思われます」

 一方、緊急事態宣言は、

「予定通り解いてほしい」

 と主張するのは、前出の矢野氏である。

「緊急事態宣言を出したままでは、みな疲れてしまい、メンタルにも悪影響が及ぶ。宣言の目的はオーバーシュートを防ぐことなのだから、急激な感染拡大が防げたら解除し、増えてきたらまた発出すればいい。たとえば、2カ月半は休みなしに仕事をして、外食も宴会も構わないことにし、その後2週間はなにもしない。それを繰り返せば、年間の休日の数も普段と同じで、経済効率も上がります。とにかく、このままでは会社を畳むべきかどうか悩む人が、たくさん出てきてしまう。私はイベントもやってほしいと思っています」

週刊新潮 2020年5月7・14日号掲載

特集「『コロナ』光と影 緊急事態『5・6』後の日本は!?『小池知事』煽動でいつまで『命の経済』を止めるのか」より

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