【コロナ禍】緊急事態宣言解除ならず 小池知事の扇動で“命の経済”をいつまで止めるのか
経済の専門家が不在
前外務副大臣の佐藤正久参議院議員も、
「専門家会議は疫学と公衆衛生の専門家が主体で、医療現場の人は釜萢(かまやち)敏先生だけなので、偏っているのは確か。PCR検査で陽性患者をみつけ、重症者はここで、軽症者や無症状者、濃厚接触者はどうする、という全体的な検査、入院、治療、退院のシステムを描ける先生は少ないです」
と指摘し、古巣の自衛隊も引き合いに出して説く。
「危機管理的にいえば、専門家会議は2チーム作ったほうがよかった。科学的な観点から分析や評価を報告する組織であるべきが、1チームだと、政治家の顔色を見ながら動いてしまうからです。逆に政治が“専門家会議がそう言ったのだから”と、責任をシェアしてしまうことにもつながります。また自衛隊的にいえば、当面作戦と将来作戦に分けて考えないと、目先の政策に集中してしまう。だから出口戦略を考える別個のチームも必要です」
そして、こう提言する。
「将来作戦には経済の専門家も加える。今回も場合によっては、ある程度の感染者がいても社会活動を再開するとか、それをどう段階的に行うかとか、考える必要がありますが、疫学と公衆衛生の専門家にそれを求めるのは無理がある」
事実、専門家会議委員でもある川崎市健康安全研究所所長の岡部信彦氏も、
「われわれは感染症の専門家ですので、自粛をしないと医学的にこういうことが起きる、という提言はできますが、経済面への影響や解決策は専門外なので、支援が必要だという提言にとどまります」
と認めるが、現状ほかにチームがない。かくして専門家会議は、人との接触の8割減が未達成なのを盾に、命の経済には目を向けず、緊急事態宣言の延長を提言しそうなのだ。しかし、「将来作戦」を立てるチームはなくても、そこに目を向けるのが政治ではないのか。
接触8割減といえば、そこまでには「あとひと押しもふた押しも必要」だと強調しているのが小池知事である。宣言の延長は、内部留保が9千億円もある都の財政力を背景に、自分への支持をさらに集める好機だと思っているとすれば、この女史らしく、度し難いご都合主義である。加えて都政担当記者が言うには、
「たとえば豊洲市場は、セリ場もマスク着用になったとはいえ、全体に3密だという声が多い。とりわけ仮眠室などは混みあって、ひどい状態だと聞きます」
気にすべきは有権者の目だけで、かつて自身が味噌をつけた直轄地など、どうでもいいのかもしれない。
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