「皇位継承議論」先送りも… ついに動き出した「旧皇族男子」復帰の隠密シナリオ

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ひそかに4人ほど…

 ところで、73年前に皇籍を離脱した11宮家のうち現在、未婚の男系男子を擁するのは賀陽家、久邇家、東久邇家、竹田家と4家あり、あわせて10人ほどになるという。なかでも東久邇家は、昨年3月に亡くなった当主・信彦氏のご母堂が上皇さまの姉にあたるなど、令和の皇室とも極めて近しい。それを裏付けるかのように、さる旧宮家関係者によれば、

「亡くなる10日ほど前、上皇さまと美智子さまがお忍びで都内の信彦さん宅を訪ねられています。信彦さんは、お見舞いをとても喜んでいました」

 こうした背景もあり、国士舘大の百地章・特任教授は、先の2氏とは異なり、

「憲法2条で謳われている『世襲』とは、男系による世襲を意味しているというのが、戦後一貫して政府が説明してきたところです。男系が続いている4家の若い方々に皇族の身分を取得して頂くのが、一番良いのではないかと考えます」

 そう主張するのだ。前述した「文藝春秋」の論文では安倍首相も、

〈三笠宮家や高円宮家に、旧宮家から男系男子の養子を受け入れ、宮家を継承していく方法もある。現行の皇室典範では、皇族は養子をとることができないことになっているが、その条文だけを特別措置によって停止させればよい〉

 と述べており、その首相のブレーンである麗澤大の八木秀次教授は、

「8年前に月刊誌に寄せた総理の主張は今も全く変わっていません。総理はまず、女性宮家構想に加え、旧宮家の復帰案も論点として併記する考えで、これだけでも大きな前進です。世間にこうした案があると知らしめてオーソライズさせる、つまり“市民権”を持たせることが重要なのです」

 亡くなった東久邇信彦氏の弟で、男の子の孫が2人いる眞彦氏に尋ねると、

「(政府からは)全然、連絡も何もありません。(皇籍復帰の打診については)申し上げることはありません」

 それでも、八木教授はこう明かすのだ。

「旧宮家のご当主の方とお話しすると『やはり男系でなくては』といった考えを漏らす人がいます。また、実際に4人ほど、必要があれば皇籍復帰する意思や覚悟のある男性がいるとも聞いています。彼らはもちろん、自ら声を上げることはしませんが、そうした流れになればおのずと引き受ける、そんな心づもりでいるのだと思います」

 隠密シナリオが晴れて浮上する日は、あるいは遠くないかもしれないのだ。

週刊新潮 2020年4月30日号掲載

特集「ついに動き出した『旧皇族男子』復帰の隠密シナリオ」より

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