「コロナ鬱」克服術 心が蝕まれ“DV”“アルコール依存”…

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心が蝕まれ「DV」「離婚」「家庭内殺人」…

 遠くない出口が見える前に、心がすさんで、ついには病んでしまう――。我々はそんな危険にもさらされているが、克服する道はあるという。

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 実際、ロックダウンされている欧米各国の都市を中心にDV被害が急増しているといい、4月5日には国連のグテレス事務総長が各国に向けて、新型コロナウイルス対策に「女性の保護」を盛り込むように訴えたほどである。

 だが、日本にとってもすでに対岸の火事ではない。同じく5日には都内で59歳の夫が、「稼ぎが少ない」と責める妻を平手打ちし、死なせてしまうという痛ましい事件が起きている。精神科医の片田珠美氏は、

「私が聞いた家族の話では、在宅ワークになった父親がコロナへの不安から、ネット上で集めたありとあらゆる情報にもとづき、“これに気をつけろ”“これはするな”と、口うるさく命じるようになったとか」

 と言って、続ける。

「これがエスカレートしてDVに発展する危険性は大いにあります。そうなる場合、一番大きな原因は怒りです。“自分は悪いことをしていないのに、なんでこんな目に遭うんだ”と。政府にぶつけられない怒りを、身近な弱い人にぶつけてしまうのです」

 新型コロナウイルスに感染するのも、DVの加害者や被害者になるのも、どちらも悲劇であるのは言うまでもない。大阪大学人間科学研究科未来共創センター招聘教授の石蔵文信氏は、

「在宅勤務になると、定年で家にいるのと同じ状況になるから、熟年離婚の原因となる状況が前倒しでやってくることがある。家族が一緒にいることがストレスになる家庭の場合、DVや虐待にも発展します」

 と憂慮する。その場合、

「奥さんが家事や育児の負担が大きいなら、旦那さんが食事を作るとか、積極的に相手の負担を減らすこと。大事なのは相手に依存したり、負担をかけたりしないことです」

 というのが石蔵氏のアドバイスだ。また、精神科医の和田秀樹氏によると、こんな懸念もあるという。

「DVは家に閉じこもった状態が解ければ、ある程度収まるでしょうが、それ以上に問題なのはアルコール依存症です。不安感が強く鬱々としているので、酒でも飲まないとやっていられない。在宅だと安価で飲めたり、人目がないので歯止めがきかず飲めたりするため、外でみんなで飲むよりアルコール依存症になりやすく、一度なると治りにくいのです」

 片田氏によると、コロナ鬱も増えているという。

「私のところに来る患者さんは、もともと鬱病や不安障害を抱えている方が多く、いまテレビやネットを観て不安になり、症状が悪化しています。これまで症状がなかった人でも、コロナへの不安から鬱になる方が多いようで、その大きな原因は喪失不安。つまり、自分の命や家族の命、健康、そして収入や職といった大切なものを失うのではないか、という不安です。多くの死者が出ているのが発展途上国ではなく、最高峰の医療技術をもったアメリカやイタリアだということも、不安を増長させています」

 その症状は、

「人それぞれですが、まず不眠になることが多い。さらに、常に怒りっぽくなったり、なにをするにもやる気が出なくなったり、すべてを悲観的に見てしまったりするようになります」

 休業を強いられた人が鬱になったら、命が守られたことになるのだろうか。

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