日本株のBCG接種に「コロナ死」抑制力の根拠

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遺伝子変異

 宮坂名誉教授が続ける。

「BCGはフランスで初めて作られ、それがすぐに日本とソ連に分与されたので、日本株とソ連株の成分はほとんど一緒です。一方、デンマークに分与されたのは、日本やソ連に比べ、10年ほど遅かった。その間に遺伝子変異が起こって、日本株とデンマーク株では成分に違いが生まれました。それが、ウイルスへの効果の差を生んでいる可能性があります」

 違いを挙げてもらうと、

「日本株やソ連株の特徴はデンマーク株などに比べてワクチンに含まれる生菌の数が多いこと。すると、免疫を高める成分も多く含まれる可能性があり、結果としてウイルス感染による重症化を防ぐ効果が高いのかもしれません。しかし、これはあくまで推測であり、今後のさらなる解析が必要です」(同)

 日本で国民へのBCG接種が全面的に行われ始めたのは1951年。すなわち、現在70歳以上だとその恩恵に与れない可能性が高い。そうした人にとっても接種は希望の光に見えるが、日本医科大特任教授の北村義浩氏は警鐘を鳴らす。

「BCGが新型コロナウイルスに効果があるかもしれないといって、今から接種することはお勧めしません。副反応が出る恐れがありますし、特に高齢者は避けるべきでしょう」

 100年の時を経て突如現れた救世主だが、用意されているワクチンの数にも限りはあり、そもそも乳児用のものであることを忘れてはなるまい。

週刊新潮 2020年4月23日号掲載

特集「『コロナ』の決死圏」より

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