【コロナ禍】過激な言動が話題 ブラジル「ボルソナーロ大統領」の意外な人気の秘密

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ギャングが外出禁止のメッセージ

 そもそも、ボルソナーロ大統領はどんな人物か。

「いわゆる極右の政治家で、1964年のカステロ・ブランコ将軍の軍事独裁政権を支持しています。LGBTの権利は認めていません。2018年に社会自由党から大統領選に出馬しましたが、党と喧嘩して離党。現在は無所属です。アメリカのトランプ大統領の信奉者で、昨年1月に大統領に就任して以来、4回訪米。そのため、“ブラジルのトランプ”と呼ばれています。コロナ感染には無頓着で、毎日のように外出し、街でパンを食べたり、店の人と一緒に写真を撮っています」(同)

 国民の中には、そんな大統領を支持する動きが出てきたのだ。

「4月11日と12日、サンパウロの中心街パウリスタ通りで、ロックダウンに反対するデモが行われました。11日は通りを車でふさぎ、『ドリア知事(サンパウロ州)は辞めろ、われわれを働かせろ』とシュプレヒコールを上げています。車が1000台、オートバイが2000台、トラックが200台参加しています。12日は大統領支持者約200人が参加して、ロックダウンの中止を訴えました」(同)

 とはいえ、コロナの感染はまだまだ拡大しそうだ。特に、サンパウロやリオデジャネイロにあるスラム街(ファベーラ)は、今後コロナ感染者が爆発的に増えるかもしれないと言われている。

「ファベーラは住宅が密集している貧困街で、小さな家に10人ほどが暮らしているため、感染爆発が危惧されています。リオデジャネイロ州は、ファベーラに住む高齢者を街中のホテルに移動させることを決めました。ところが高齢者は家族と離れたくないという理由で、ホテルに移った人はごくわずかでした。ファベーラは犯罪組織の縄張りで、当局の権限が及ばない無法地帯です。このままではファベーラの住民にコロナが蔓延するのは目に見えているため、ギャングが車で住民に外出禁止を促すメッセージを流していますよ」(同)

 ファベーラのような貧困地帯のインフラは、まともに整備されていないという。

「ブラジル当局によると、水道を利用できない人は約4000万人もいます。人口の半分となる1億人は、下水道なしで暮らしています。コロナ感染を防ぐため、手を洗う水さえない人がこんなにいるのですから、コロナを防ぐ手段がありません」(同)

 国内がそんな状況にありながら、ボルソナーロ大統領は4月18日、ブラジリアで行った集会で「新型コロナウイルスには(国民の)70%が感染する。どうすることもできない」と発言。各州が実施しているロックダウンの緩和を求めているのだ。

「ブラジルは、財政基盤が脆弱な発展途上国ですから、このままロックダウンが続けば経済は破綻します。感染のピークは5月と言われていますが、感染拡大が収束せずにロックダウンが2、3カ月も続けば、街は失業者で溢れかえることになるかもしれません」(同)

 感染防止か、経済優先か。どちらを選んでもブラジルは大変なことになりそうだ。

週刊新潮WEB取材班

2020年4月26日掲載

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