【コロナ禍】過激な言動が話題 ブラジル「ボルソナーロ大統領」の意外な人気の秘密
「新型コロナは軽い風邪」、商業活動の規制に関しては「犯罪だ。ブラジルを壊している」と発言。商業や市民の外出の自粛を主張した保健相はクビに……。ブラジルのボルソナーロ大統領(65)の過激な発言と行動が世界の注目を集めている。
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ブラジルの新型コロナ感染者は4月19日現在3万8654人、死者は2462人に達している。前日から感染者は2055人、死者は115人増えた。にもかかわらず、ボルソナーロ大統領は同日、首都ブラジリアでマスクを着用せず数百人の集会を開き、演説を行った。演説中、咳き込むシーンもあったが、聴衆を愛国者と呼び、各州で実施しているロックダウン(都市封鎖)を攻撃したのだ。
ロックダウンを最初に行ったのは、コロナ感染の中心地となっているブラジル南東部のサンパウロ州とリオデジャネイロ州だった。その後、他州も独自に商業施設の規制を行うようになった。
「ロックダウンによって、市民は不要不急の外出を禁止。病院やガソリンスタンド、スーパーマーケット、薬局など生活に必要なお店をのぞき、営業停止です。当初は3月24日から始めて、4月22日に終了する予定でした。ところが感染拡大が止まらないため、5月10日まで延長になりました」
と解説するのは、ブラジル在住の日本人ジャーナリスト。
「ロックダウンも1カ月近くになりますので、市民は疲弊してきています。そのため、ロックダウンに異を唱えるボルソナーロ大統領を支持する人がでてきました。最初は『大統領は何を言ってんだ』と馬鹿にしていた人たちが、ロックダウンで生活が苦しくなって、『彼の言っていることは正しいのではないか』と思うようになったのです。現在、国民の3~4割が支持派ですよ。一方、連邦議会や野党は、ロックダウンに賛成しています。ブラジル国内では、大統領支持派とロックダウン賛成派とで、意見は真っ二つに分かれています」
マンデッタ保健相は医師出身で、記者会見で科学的知見に基づいてロックダウンの必要性を訴えると、人気が急上昇。それに対して大統領は、「スターになった」「謙虚さを失った」と痛烈に批判、解任したという。
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