コロナ禍の「抗体検査とBCG論争」から見る 日本人の免疫へのあこがれ
過去のものか進行形か
「PCR」検査は今かかっているか否かを調べることがメインであり、すでに感染既往があり、抗体がつくられているかどうかを調べることが中心となるのが「抗体」検査だ。アメリカNY州では新型コロナウイルスの抗体検査を無作為抽出で3000人に行ったところ、6人に約1人(14%)が感染していた可能性があることがわかったという。
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また、抗体検査を“ゲームチェンジャー”と呼ぶイギリスのジョンソン首相は、この検査への大規模な介入を進めている。日本でも数千人に実施する計画が動き始めた。東京オンコロジーセンター代表の大場大氏、国立がん研究センター研究所がん幹細胞研究分野分野長の増富健吉氏は共にがんを専門とする。忖度のない立場の2人が抗体検査について語り合う。
大場:国内ではまだ検査試薬開発レベルの段階ですが、抗体検査への国民の注目度は高いですね。増富さん、この検査とはどのようなものなのでしょうか。
増富:はい、抗体検査方法の一般的な考え方について説明します。
1.新型コロナウイルスの抗原自体を鼻腔・咽頭ぬぐい液などから検出する(抗原検査という人もいます)
2.新型コロナウイルスに対してできてきた抗体を患者血液(血清)から検出する
の2つの可能性があると思います。いずれの方法も手順も時間的にも、現行の「PCR」検査に比べるとはるかに簡便かつ迅速に行えると思います。(※便宜的にPCRと呼んでいますが、その中身については、こちらもご参照ください。https://www.dailyshincho.jp/article/2020/04171131/)
それぞれについて説明します。
1.既にクリニックなどでも実施されている、インフルエンザウイルスの簡易検出キットや妊娠検査キットなどと同じ原理での検査です。検出したいタンパク質(今回は新型コロナウイルス由来のタンパク質)に対する抗体を作製して、その抗体をキットに貼り付けておきます。もし、鼻腔・咽頭ぬぐい液に新型コロナウイルスがいれば反応して着色して目に見えるというものです。15分くらいでできますし手技的には自宅において自分で行うことも可能です。
2.新型コロナウイルスに対して、ヒトの体内でできた抗体を検出する方法です。1.とは反対に、新型コロナウイルス由来のタンパク質を貼り付けておきます。患者さんの血清に新型コロナウイルスに対する抗体があれば、反応して着色するので目に見えるという原理です。やや専門的になりますが、臨床的には、過去の既往感染歴なのか、新規の感染なのかを区別しなければなりませんので、IgGとIgMという2種類の抗体を組み合わせて検査する必要があります。ただし、この方法について現時点では1つ注意が必要です。
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