小池都知事も知らない「コロナ・ネットカフェ難民」が向かう「超3密」施設

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糞尿VIPルーム

 その結果、私は「よりハードな施設」に、強制移動と相成った。

 場所は、東京スカイツリーのすぐそばだった。

 墨田区は向島、かつては料亭だったというお化け屋敷のようなその施設は、神社の裏の住宅街に隠れるように存在していた。20人の多種雑多なオヤジたちが共同生活をしている。

 頭の後ろで髪を束ねたジャズ喫茶のオーナー風の施設長で、昼間いるだけのただ1人の管理人から、我が耳を疑う数々の入居の心構えを拝受する。

「20人の入居者のうち、3、4割の方が、全身に見事な刺青をしていらっしゃいます」

「窓は、絶対に開けないでください。近隣の住宅から、たちまち大変な苦情が来ますよ」

「アナタの部屋は、6畳間で、今週だけ1人部屋です。ただし、先週まで入居していた痴呆の方が、自分の大便を部屋中に投げつけていました。掃除はしたのですが、なかなか取れていません」

 部屋は、まさしく「糞尿VIPルーム」だった。畳、壁、天井が、糞だらけ状態で、まんま動物園のゴリラの檻の様相だ。かろうじて、スリッパでの入室が指示された。

 しかも、そのスリッパのまま移動する廊下を挟んだそのすぐ向かい側は、食堂。入居者の中の有志が、着たきりスズメの運動着姿のまま食事の盛り付けをしている。衛生状態は、推して知るべしだ。

 翌週、私と同室となった北海道出身の同世代の人は、先日まで上野公園を根城としていたホームレスだ。「こんな場所と知っていたら、来なかったですよ。ホームレス仲間のブルーシートホテルほうが、よっぽど衛生的ですよ。生活保護費が入ったら、一緒に脱走しちゃわない?」と笑っていた。

 知る人ぞ知るメガ・クラスターの最大予備軍の無料低額宿泊所。ロックダウンを煽って人気取りに成功した小池都知事は、ご存じであろうか。

 都庁の近くにも、多数の無料低額宿泊所が存在している。小池都知事は、退庁の帰りにでも、防護服を装備して、自ら見学に行くといい。

村野雅義
作家。1954年、東京中野生まれ。東海大学工学部建築学科卒業。学生時代から、放送作家に。30歳を過ぎてから、「巨泉のこんなモノいらない!?」「朝まで生テレビ」、各ワイドショーなどに出演。著書に、「バキュームカーはえらかった」「田中角栄vs小泉改革」「地方栄えて日本は破産」「東京は日本一ビンボーだ」など。

週刊新潮WEB取材班編集

2020年4月25日掲載

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