「コロナ救済融資」はすべて断られた… 中小企業社長が怒りの告発

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「日本経済を支える屋台骨は中小・小規模事業者だ。本当に苦しいなかでも頑張っている皆さんこそ日本の底力だ」

 今月7日の緊急事態宣言に伴う記者会見で、安倍総理はこう述べた。しかし、この「エール」に虚しさを覚える人がいた。

「私は通信教育の会社と、少人数制の対面塾のふたつの会社を経営しているのですが、新型コロナの影響で消費マインドが冷え込んだせいか、いずれも2月期の売り上げが前年比3割近く落ち込みました」

 こう明かすのは、受験アドバイザーとしても知られる精神科医、和田秀樹氏(59)だ。

「そこで、無担保を謳(うた)っている日本政策金融公庫の新型コロナウイルス感染症特別貸付制度に申し込んだところ、過去に融資歴があり、その返済猶予をお願いしたことがある通信教育の会社はダメで、対面塾のほうしか対象にならないと言われました。ところが対面塾も過去3期赤字だから、そんな会社には融資できないと断られてしまったんです」

信用金庫も…

 和田氏の怒りは続き、

「この制度は潰れかけの会社を救済するものではなく、ちゃんとした会社がコロナの影響で潰れるのを防ぐための制度だからとも言われました。これでは、コロナをきっかけに、傾きかけていた中小企業はさっさと潰してしまいましょうと言っているに等しいのではないでしょうか」

 日本政策金融公庫は、

「たとえ赤字であっても今後の返済の見通しがあれば融資をお断りすることはございません」(広報部)

 と弁明するのだが、

「表向きそう言っていたとしても、実際の現場では弾力的な融資は行われていないのが実態です」(和田氏)

 仕方なく和田氏は、次に区役所の斡旋で地元の信用金庫に融資を申し出た。

「行政に斡旋されたのだから大丈夫だろうと思っていたら、政府の保証があるわけでもないし、やはり赤字の会社に金は貸せないのを分かってほしいと言われ、挙句、担保があればいくらでも貸しますよと、緊急のコロナ対策用の融資ではなく、通常時の不動産担保ローンを売り込んでくる始末でした」(同)

 安倍総理が言うところの「底力」の、まさにその底が抜けてしまうような仕打ちではないか。このままでは、中小企業の経営は底なしの泥沼化必至である。

週刊新潮 2020年4月23日号掲載

特集「『コロナ』の決死圏」より

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