コロナ禍に大学で勃発する学費免除問題 全国に波及する学生のオンライン署名運動

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学生が発するメッセージ

 4月17日金曜日。東京における一日の新型コロナ感染者数が初めて200名を超えた。

 この日を境に、「change.org」を使った学生による「授業料一部減額」への署名活動は首都圏私大を中心にして、雨後の竹の子の如く全国に広がった。

 4月21日現在、私がこの日確認できた学生によるオンライン署名だけでも……

上智大、明治学院大、中央大、青山学院大、学習院大、駒沢大、芝浦工大、専修大、関東学院大、亜細亜大、武蔵野大、多摩美術大、日大芸術、早稲田大、慶應義塾大(早慶は合同キャンペーン)、大東文化大、立命館大、同志社大、近畿大、関西大、和歌山大、秋田公立美大、桃山学院大

 ……などがあった。

 上記各大学の署名サイトは、(1)この署名活動を提起した自分の自己紹介(2)在籍する大学を巡る状況(3)学費一部免除が妥当だという理由、が基本構成になっている。

 各大学の署名サイトを見てみると、そのほとんどの趣旨に共通する点が一つある。

 今回の「学費問題」を「コロナという未曽有の事態から発生した共通の問題」と捉えた、「この問題を協力して解決していきたい」というスタンスである。

 かつて大学で「学費問題」など、ひとたび起きれば、それはすなわち「大学当局VS学生」という乱暴でシンプルな構図に還元された。

 今回、学生がここから発信しているメッセージは“立場は異なれど、共通した課題をお互いに解決するためにできることを模索したい”という、一般社会におけるごく当たり前のマネジメントプロセスとほとんど同じだ。

 彼らの煮詰まった現状を踏まえれば、それは驚くほど冷静な言葉と論理で伝えられている。

「(早稲田大、慶應義塾大)両校のこれらの対応は、学生・教職員の命を守るために適切であり、教職員の皆様が授業開始に向けた準備に尽力されていることに感謝を申し上げます。

 一方で、図書館・学生食堂をはじめとする様々な施設が使用できない状況において、私たち学生が例年通りの学費を納入することは受け入れがたいのも事実です」

 こういう文言で始まる「早慶学生合同による学費減額署名活動」は、そのわかりやすい例の一つだろう。ここには、単に「学費を減額しろ」などと漠然とした要求はなく、「この部分のここは現状況では余分な負担と考えられるので、減額する」など、彼らの要求がかなり具体的に明示されている。

 また、オンライン署名サイトの中で学生自治に関して熱く語る中央大学のように昔のビラを想起するものなど、それぞれの学風や伝統が滲み出ているものもあった。

 最近行われたアンケートによれば、大学生の6割が「アルバイト収入が減ったりなくなったりした」と回答し、さらにこの調査に答えた学生の13人に1人が「大学を辞める検討を始めた」と回答している。学生の経済状態を巡る状況がさらに急速に逼迫しているということだ。

 彼らが必死に提出したオンライン署名が大学当局や文部科学省などの関連行政担当者にまでしっかり届き、「誠意ある回答」があることを切に望んでいる。

尾崎尚之(@YuuyakeBangohan)/編集者

週刊新潮WEB取材班編集

2020年4月24日掲載

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