【コロナ禍】なぜ毎日「感染者数」だけを報じるのか マスコミが「退院者数」をスルーする事情
退院者推移も重要なデータ
東京都の「新型コロナウイルス感染症対策サイト」に「検査陽性者の状況」が表示されている。4月23日の午前段階で、「陽性者数(累計)」は3439人。そして「退院(療養期間経過を含む)」は897人となっている。
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ちなみに、この「退院」した人の数だが、公式サイトによると「『入院中』には、入院調整中・宿泊療養に移行した方を含む」という。
いずれにしても、この人数をマスコミで目にすることはほとんどないと言っていい。感染者の数が速報でも報じられるのとは対照的だ。
具体的に見てみよう。東京都は4月15日の午後6時半、「(第206報)新型コロナウイルスに関連した患者の発生について」との広報資料を発表した。
この資料も活用しながら、新聞やテレビといった大手マスコミは、東京都で15日に判明した感染者の数を報じた。
例えば東京新聞の報道を見てみる。都の発表から約2時間後の午後8時27分、公式サイトに記事を掲載した。
記事自体は通信社の共同通信が作成したもので、見出しは「東京で127人感染、高水準続く コロナ感染、死者計53人」だった(註:全角数字を半角数字に改めるなど、デイリー新潮の表記法に改めた。以下同)。
この記事の根幹部分を、引用させていただこう。
《東京都は15日、新型コロナウイルスの感染者を新たに127人確認したと発表した。6割強に当たる80人の感染経路が不明。都内の感染者は累計で2446人となった》
以上を踏まえて、話を広報資料に戻す。すると、大手マスコミがスルーした項目も少なくないことに気づく。
まず年齢別の感染者数だ。都の広報資料には患者の《属性》として、《10歳未満》から《100歳以上》という年代別の患者数が記載されている。
これによると、15日に感染が判明した患者で、最多は50代の25人だったと分かる。次は40代の21人。そして3番目は19人の20代だった。
そして、何よりも目を引くのが、《退院(累計)》という項目だ。広報資料に記載された人数は105人。その下には註釈として《※退院には、死亡退院を含む》とある。
つまり、この105人は、「治療を終えて退院した人」と「懸命の治療を行ったが、残念ながら亡くなられた人」の数を足したものなのだ。この註釈が現在は消えているのは、冒頭でご紹介した通りだ。
この頃は両極端な結果が合わさっていたのだから、報道で使いづらい数字だったことは言うまでもない。
先に紹介した東京新聞=共同通信の記事だけでなく、他の新聞もテレビ局も、東京都が広報した「累計の退院者数」を報じていない。
退院者数をメディア側がスルーする状況は、今も変わっていない。だが、これは本当に無視していいデータなのだろうか。新型コロナウイルスに罹患しながら退院した人の数は、マスコミが報じるべきなのではないか。
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