NY在住作家が綴る「自宅待機5週間」で私に起こった不調について

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暴動すら起きかねない

 自宅待機が5週間を過ぎた今、心身に不調を感じる。重い鉛を抱え込んだような息苦しさがある。大声で叫びだしたい衝動が、ときおり潮のように押し寄せてくるのを堪え、大きく深呼吸してやり過ごす日々だ。

 わが家に20年来、ときどき掃除に来てくれるヒスパニック系のおばさんが、先日電話をかけてきた。「微熱が出たので、明日は行けません」。彼女が前回来たのは2週間前だった。その日の晩と翌朝、私も熱を測ってみた。幸い平熱だったが、いくら身内同然の親しい人だと思っていても、「他人を家に入れるな!」という行政命令を無視したことを、ひどく悔いた。

 一週間後、電話でおばさんの様子を聞くと、まだ微熱が下がらず自宅に籠っているという。「ほしいものは?」と私。「果物とオリーブオイル、クッキーです」と、答えた彼女の“ほしいものリスト”に、白米、パン、トマトの缶詰、のど飴なども加えて、大量の食料品を買いこんで段ボールに詰め込み、おばさんの息子に取りに来てもらった。

 目に見えないコロナウイルスが、身近なところまで忍び寄っている。私の住む町が所属するウエストチェスター郡では、感染者がNY市に次いで州内で二番目に多く、2000人以上に達した。

 息を潜める生活はもう我慢の限界だ。一刻も早い経済再開を待ち望む声が巷に高まっている。アメリカ中西部では、サプライチェーンが寸断されて、スーパーマーケットの食料品が底を突いた。フードバンクに100万人の長蛇の列ができた。失業保険の申請数は2000万件にのぼり、メリーランド州では、米国旗を振って封鎖解除を要求するデモ隊が街を練り歩く。南部フロリダ州では感染拡大の中、ビーチに人が押し寄せている。一歩間違えば、暴動すら起きかねない不穏な空気が漂っている。

 4月14日、ニューヨーク州では1日あたりの入院患者と退院患者の差が初めてマイナス128人となり、クオモ知事は、「ようやくPlateau(横這い)に達した可能性がある」と発言した。「だが、誰か1人でもStupid(愚か)な行いをすれば元の木阿弥だ」とも口にした。

 誰かって、誰のこと? 発言の文脈に従えば、感染の「第2波」が来ることを厳重に警戒し、まだ決して気を緩めることはできないと人々に言っているように聞こえるが、前日の13日、早くも経済再開を口にしたトランプ大統領との意見の対立が際立った。

 以下、ワシントンとNYでそれぞれ行われた記者会見の“間接的な応酬”を、一問一答に縮めてみよう。

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