コロナ対策で「小池知事」の変わり身の早さ “命より五輪”で厚労省の警告無視から一転

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 だれも逆らえない美しき正論「命」。それを掲げる小池百合子都知事が快進撃を続けるが、御旗が都民そして国民のためのものでなく、知事自身の野望の道具にすぎないとしたら――。

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 新型コロナウイルスの猛威の下、「ステイホーム」が世界の合言葉になり、日本では小池都知事が繰り返している。むろん、感染を防ぎ、人命を守るべきだという声に、異論をはさむ余地はない。いまは可能なかぎり家にいよう、という訴えは正論である。

 一方、家にいる間に、我々の当たり前の日常を保証してくれていた数々のものが、ガラガラと音を立てて崩れていることも、忘れてはなるまい。いや、客足が遠のいた飲食店などが青息吐息で、文化や芸術に携わる人たちの仕事がすっかり失われ、教育機会が奪われた子供たちの未来に暗雲が垂れこめているのは、だれの目にも明らかなので、ここで改めて強調するまでもないかもしれない。

 だから、我々一人ひとりが「ステイホーム」を意識すべきなのは当然としても、この両刃の剣の扱いには慎重でなければならず、政治家はなおさらであろう。

 ちなみに、この言葉が大好きな小池知事はどうだろうか。いまネットやSNS上には、彼女を〈誰よりも本当にリーダーシップがあってフットワークの軽い方だな〉などと絶賛する声があふれている。だが、「スピード感が重要」とも繰り返す小池知事は、「ステイホーム」と初めて口にするまで、随分のんびりと構えていたのをご存じか。

 都政担当記者が言う。

「築地市場の移転見直しを撤回し、希望の党を立ち上げて大失敗してから、小池知事は、自分が開催都市の顔になる五輪のことしか頭にないようでした。新型コロナウイルスの感染が広がっても、五輪は“中止も無観客もありえない”と言うだけで、コロナ対策には全然触れなかった。いまでこそ“オーバーシュートの分かれ道”と繰り返していますが、感染拡大の分かれ道になると懸念された3月20日からの3連休前、厚労省クラスター対策班から“4月2~8日に患者が320人にまで増える可能性がある”という試算を受け取りながら、知事は無視していたのです」

 大阪府の吉村洋文知事が、それを見て兵庫県との往来自粛を求めたのと同様の文書である。五輪開催への足かせになると、小池知事は警戒したのか。

 いわば、小池知事にとっては「命より五輪」だったはずが、一転したのは連休明けの3月23日だった。会見で、「オーバーシュートが発生するか否かの大変重要な分かれ目」と強調し、突如として「事態の今後の推移によっては、都市の封鎖、いわゆるロックダウンなど、強力な措置をとらざるを得ない状況が出てくる可能性があります」と述べた。

「IOCが五輪の延期に初めて言及したのが、その前日です。それを受けてIOCと日本側が話し合い、延期検討で合意したと発表した23日、小池さんは安心したのか、日本ではできもしないロックダウンを口にした。24日、彼女自身も加わったIOCのバッハ会長との電話会談で、五輪の延期が正式に決まると有頂天になったのは、安倍総理と交わしたグータッチからも明らかです。“感染爆発重大局面”というパネルを掲げ、改めてロックダウンを強調したのは翌25日で、真に受けた都民が他県に買い出しに押しかける状況を引き起こしました」(同)

 加えれば、自身が厚労省の警告を無視したため、直後の3連休に多くの人が花見などで感染したであろう失態を棚上げできるのも、この女史の得意技だろう。

 あとは機を見るに敏な政界風見鶏の面目躍如。強い言葉で不要不急の外出を控えろと呼びかけ、隣接県に追随を求めてリーダーシップを誇示し、さらに一歩進んだ行動に走った。政治部記者によれば、

「総理官邸を頻繁に訪れ、緊急事態宣言の発令を急かしました。官邸は当初、東京都の1日の感染者数が漸増であるうちは緊急事態宣言を出さなくていい、と慎重で、彼女の行動を、7月の知事選に向けたパフォーマンスだと、冷めた目で眺めていました。ところが、コロナ対策担当の今井尚哉総理補佐官が籠絡されてしまったのです」

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