WHO上級顧問・渋谷教授、政府クラスター班・西浦教授が発した数字のマジック
昼の街クラスターは?
増富:西浦氏は、「新型コロナクラスター対策専門家」というツイッター(https://twitter.com/ClusterJapan)上で、専門的な解釈を説明しているようですが、1人の感染者が何人に感染させるかの平均値をR0「基本再生産数」と呼び、ドイツで推定されているR0=2・5を基準としているようです。
それをもとに、今回の緊急事態宣言のように、国民に行動制限を与えたときに何人に感染させてしまうかの平均値をRt「実行再生産数」と呼び、Rt<1(平均で感染させる他人の数を1人よりすくなくする)を目標として計算されているようですね。R0=2・5の前提や計算の中身自体が正しいのかどうか一般にはわからず、それが不安を引き起こすのかもしれません。
大場:英国では、当初「集団免疫」のスタンスを取っていましたが、一転、ジョンソン首相が首都閉鎖という強力な施策に方向転換をした背景には、インペリアル・カレッジの数理モデルの後押しがあったといいます。その後も、オックスフォード大学の数理モデルを参考にして、英国民に対して広く抗体検査を普及させる計画を練っているようです。
国内の数理モデルについても、ある仮説のみに固執するやり方ではなく、国内の現状に合わせた柔軟な対策を期待したいところです。
例えば、夜の街クラスターが問題というなら、至るところでみかける昼の街クラスターはどうなんでしょう。電車に乗るなというなら、電車をストップさせないと。
増富:そもそも、統計学的、疫学的手法での感染拡大予防は、今回の新型コロナウイルスに関してはもう限界なのかもしれませんよ。感覚的かつ興味本位の発言になり、この場にふさわしくないかもしれませんが、株価の予測とか経済予測みたいなものって、基本的には当たりませんよね。
でも、経済評論家はハズレても非難されない論法が身についている気がしているんです。腹の中で考えている数値と、口に出す数値って本当に同じなのかと私はいつも感じます。
週刊新潮WEB取材班
[3/3ページ]