PCR検査の中身を知っていますか? 韓国の推奨政策と「数だけ議論」のワナ

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2倍程度の感染者数

大場:なるほど、新型コロナウイルスのPCR検査は精度管理がとても難しい手法だと理解しました。「誰がやっても同じ結果が得られる」ような安定した検査ではない。PCR陰性という結果が出ても、本当にSARS-CoV-2感染なしとは言い切れないわけですね。

 最近、僕が外来で抗がん剤を投与していたがん患者さんが、新型コロナウイルス感染による重症肺炎になってしまいました。2週間以上発熱が続いていて、CTで肺炎像もあったのでCOVID-19ではないか、専門の診療チームに頼んで診てもらったんです。1回目の鼻腔からのPCR結果は陰性。それで本人も医療者も安心していったん帰宅していただいたのですが呼吸困難が出現。

 2日後に再度CTを撮るとかなり速いスピードで肺炎が悪化していました。2回目の鼻腔からのPCRでもやはり陰性でしたが、喀痰のPCRで陽性と判明し、そこでようやくCOVID-19だと診断されたわけです。確定診断がPCR頼みである現状、PCR陰性でも新型コロナウイルスに感染している人は少なくないかもしれません。

増富:はい。「数だけ議論」の続きになりますが、私は個人的には全体の罹患者数に関しては独自の考え方を持っています。「今となっては」論じることが可能という前提で聞いてください。2カ月前の日本には当てはまりません。

 4月16日現在、日本では爆発的感染が何とか食い止められているという状況です。一方で、世界各国では爆発的感染が起こってしまっているという状況では、検査なしでも罹患者数はある程度推測できます。それは、世界のCOVID-19による致死率と場合によっては重症化率に注目するのです。

 世界での致死率はおおよそ1%−13%程度で平均は6%程度とレポートされています。本日現在、日本ではまだ医療崩壊には至っていないとすると、日本の医療水準は世界トップクラスなわけですからおそらくドイツでの致死率と同程度かそれ以下と推測します。すなわち1.0−2.0%くらいの致死率と推測され、実測値もほぼこの数値です。日本での死者数は178人(4月15日 現在)ですから、罹患者数はおおよそ、9000人から1万8000人と見積もることができると思っています。

 もちろん、この数は今後、爆発的感染がおきれば一気に増えていくのですが。同じ論理で世界での重症化率を指標として罹患者数の推測が可能です。いずれにしても現在、PCR陽性とわかっている数の少なくとも2倍程度の感染者数がいると推測はできます。

「テスト、テスト、テスト」で、感染している人をしっかり把握(特に症状のない人)していくこと自体は感染を広げないためにも有効な手だてですので、「PCR」検査自体を否定する意図はありませんが、数だけの議論は危険に思います。

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