被害選手が激白! レスリング協会副会長が強化費ピンハネ 栄和人氏からの圧力音声公開

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口封じ

 話し合いでは埒が明かないと、藤波はレスリング関係者らに相談したという。

「狭い業界なので栄さんの耳に入ったのか、監督から頼まれたのか、突然携帯に電話がありました」(同)

 栄さんとは、女子レスリング界で吉田沙保里や伊調馨などの五輪金メダリストを育てた栄和人氏(59)のこと。18年に伊調馨へのパワハラ騒動で表舞台から姿を消したが、昨年12月より愛知の至学館大学レスリング部監督に復権した御仁だ。

 三重県出身の藤波は、栄氏が指導する至学館で幼い頃から練習をしていた。

「高校時代、私の父と栄さん、高田監督と4人で会食して、山梨学院を薦めてくださった。栄さんは監督と仲がよいので、その場に同席してくれたのです」(同)

 そんな間柄だけに、藤波へ助け舟を出すのかと思えばさにあらず。以下、録音されたやり取りを再現しよう。電話の初めは藤波への励ましの言葉が続くが、話題は彼の大学入学時に遡る。

栄氏「オレも、お前が山梨に行く時も、全部かかわってきたわけだよ」

藤波「はい」

栄氏「専務(編集部註・高田監督)に頼まれて、藤波を欲しいからってな。いろいろとかかわってきて」

藤波「「はい」

 過去の絆を強調する栄氏は、次第に返金交渉へと“乱入”してこう切り出す。

栄氏「お金のことで、あの時のお金はどうしたんですかとか、どこいったんですかとか言うことは、やっぱりやめとかないと」

 そう迫る栄氏は、こんな決め技をかけてきた。

栄氏「オレがちょっとでも間に入ってんだから、オレに恥をかかせたら、オレも承知しないっていうか」

藤波「はい」

栄氏「な。頼むよ」

藤波「はい」

栄氏「な。ちっちゃいことは、もう言わないようにしないと」

 温和な口調ながら、「オレも承知しない」という部分だけは語気を強める。相手をじわじわ追い込む栄氏は、こんなフォローも忘れない。

栄氏「な、頑張れよ。お前の子供、見ていないけど、こんど会わせてくれよ」

藤波「はい」

 狡猾な脅し文句に終始頷くしかなかった藤波曰く、

「栄さんに腹が立つよりも、私が逆らえないであろう人まで使って口を封じようとするのはおかしいと感じました。電話で栄さんは金ならオヤジに貰えとも言った。父はレスリング指導者で、JOCのジュニア専任コーチとして報酬を受けています。監督や栄さんからすれば、その地位に就けたのはオレたちのおかげだから、お金のことでとやかく言うなと思ったのでは」

 その後、高田監督は藤波が在学中に子供を作ったことを盾に返金を拒み続け、訴訟までちらつかせた。

 実際、彼は昨年6月に交際していた女性との間に子供を授かったが、入籍してしっかり結婚生活を送っている。見かねた藤波の父が、昨年12月に高田監督へ掛け合ったところ、ようやく返金に応じたというのだ。

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