被害選手が激白! レスリング協会副会長が強化費ピンハネ 栄和人氏からの圧力音声公開

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 もはやスポーツ界のパワハラは日常茶飯事なのか。今度の舞台は、過去にも世間を騒がせたレスリング界。訴えるのは東京五輪で男子最有力とされていた代表候補だ。そこには、あの騒動の主役の影もチラついて……。本誌(「週刊新潮」)取材に応じた被害選手の独占告白をお届けする。(以下は「週刊新潮」2020年3月19日号掲載時点の情報です)

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 3月8日、都内にある「味の素ナショナルトレーニングセンター」で、レスリング五輪代表を争うプレーオフが行われ、男女2階級の出場枠が内定した。

 昨年から続く選考も佳境で、残る階級も今後の大会で順次決まるが、「日本最強」と呼ばれた彼の名前が挙がることは、もうない。

 藤波勇飛(ゆうひ)、23歳。全日本大学選手権で4連覇、全日本選手権でフリースタイル74キロ級2連覇を成し遂げ、2017年の世界選手権で3位と輝かしい成績を誇る。来る東京五輪の代表候補筆頭だったが、昨年はケガに泣かされ続けた。

「藤波は、五輪代表の切符を賭けた昨年9月の世界選手権への出場を逃しました」

 と解説するのは、大手スポーツ紙の記者である。

「去年12月の全日本選手権までチャンスが残っていたけど、勝てずに終わった。練習不足で身体のキレがない。どうも彼の母校・山梨学院大学の監督との関係が、ギクシャクしているという噂が出回りましてね」

 そこで当の藤波本人を訪ねると、戸惑いつつも重い口を開き始めた。

「五輪に行けなかったのは、すべて自分の責任ですから監督を恨んでなんかいません。自分が言いたいのは、それとはまったく別の話です。私が経験したことは今後レスリング界で二度と起きて欲しくない。そう思っているだけです。この世界は上の決定には絶対に逆らえない。だからといって若い選手のお金を横領するようなことを平気でやる、それが許されていいのかと……」

 何やら穏やかではない話が続く。そもそも昨年3月に大学を卒業した彼は、ジャパンビバレッジに就職後も、山梨学院大のレスリング部を練習拠点にしていた。

 そこで30年もの長きに亘って指導しているのが、高田裕司監督(66)である。1976年のモントリオール五輪男子フリー52キロ級の金メダリストで、世界選手権4回制覇。その実績と共に、彼の名が世に知れ渡ったのは、80年モスクワ五輪での“悲劇”だろう。

「高田は五輪2連覇確実と言われながら、出場が叶わなかった。ソ連のアフガン侵攻に伴い、アメリカが西側諸国に参加ボイコットを呼びかけて、日本も追随したからです」(先の記者)

 代表選手の集会で高田監督は男泣き。その姿は悲劇のオリンピアンとして、人々の記憶に刻まれた。

 04年には、日本人として初めて国際レスリング連盟の殿堂入りを果たし、今や日本レスリング協会副会長兼専務理事の要職に就く。

 そんなレスリング界のドンに弟子入りした格好の藤波が、再び振り返る。

「私はレスリングの特待生として山梨学院大に入り、入学金と授業料免除の他、月10万円を支給される優遇措置を受けていました。強化費とか栄養費と呼ばれる類のものです」

 ところが、入学直後に高田監督から思わぬ提案を受けたと明かすのだ。

「監督は“お前に全額渡すと使ってしまうから、オレが毎月4万円分を預かっておく”と言って、私の名義で作った銀行の通帳、印鑑、カードを取り上げた。卒業するまでの間、大学から支給される10万円のうち6万円を、毎月手渡しで貰う形になりました」

 その後も折り合いが悪かったという藤波と監督の仲に決定的な亀裂が入ったのは、カネが原因だった。

「本当にこの人はあり得ないと思ったのは、去年の8月頃です。卒業後、預けたお金が戻ってこないので、監督に聞いてみたのです」

 恩師から返ってきたのは思わぬ一言だった。

「監督は、“カネはない”と言って、私の通帳や印鑑は何処ですかと尋ねても、“捨てたかなぁ”と曖昧な返事でした。とにかく返して欲しいと頼むと、悪びれる様子もなく“まぁ探しとくわ”と言い放ったのです」

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