FBIからの電話~コロナ禍の株主総会「積水ハウス」“仁義なき戦い”

ビジネス

  • ブックマーク

「現経営陣は地面師事件に関わっていたわけですから」

 企業ガバナンスに詳しい久保利英明弁護士はこの問題に関心を持ってきたひとりだ。

「いま、一部で報道されるようになってきましたが、地面師事件において積水ハウスは、単なる被害者だとは言えない側面があります。たとえば、詐欺だと気付いていながら、みすみす、判断を間違えた可能性が考えられるわけです」

「また、多額の金銭が犯罪によってどこに消えたのか、分からない状態になっています。この時点ですでに、マネーロンダリングだと言うことができます。なぜなら、普通は銀行に振り込むなどして、多額の金銭の行方が分からなくなることなんて、ないからです。ハッキリとテロ組織や反社会的集団に渡った事実が確認できなくても、多額の金銭が犯罪によって行方不明になっている時点で、すでにマネーロンダリングだと言えるのです」

「これは聞いた話ですが、改正された取締役会規則には、取締役会の招集権者が阿部さん、議長が稲垣さんと、個人名で記されているそうじゃないですか。このように固有名詞が記されているなんて見たことないですよ。招集権者と議長が固定されているなら、その人たちが代表取締役としての定年を迎えた後も、権限を持ち続けてしまうじゃないですか。定年制の意味がなくなってしまいますよね」

「アメリカは地面師事件を、日本トップのハウスメーカーである積水ハウスと、日本トップの銀行である三菱UFJ銀行とが組んだ、とんでもない事件だと見ている可能性がある。積水ハウスについてはこれまで話した通りですが、三菱UFJ銀行にだって重大な疑惑があります。決済に使われた預金小切手を発行して換金したのは三菱UFJ銀行でしょう」

 現体制が続くようなら、

「積水ハウスひいては日本の企業全体の信用性が、アメリカを中心とするマーケットの中で低下する恐れもあります。積水ハウスにいたっては、信用力の低下によって、アメリカで上場できなくなる可能性だって生じます」

「世界的には、我々が思っているよりもマネーロンダリングへの目は厳しいのです。実際、グラスルイスやISSは、積水ハウスの現経営陣に対して、取締役として適性を欠くという結論を出しました。議決権を持つ株主たちは、まずは、この事実を知る必要があると思います。現経営陣は地面師事件に関わっていたわけですから」

週刊新潮WEB取材班

2020年4月16日掲載

前へ 1 2 3 4 次へ

[4/4ページ]

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。