FBIからの電話~コロナ禍の株主総会「積水ハウス」“仁義なき戦い”

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「すぐに公にしろ」

 08年に営業畑出身の阿部氏を代表取締役社長へと引き上げ、“後継指名”したのは、和田氏自身だ。

 98年に社長へ就任した和田氏は、積水ハウスの売上高を2兆円まで伸ばし、戸建て住宅の販売数では日本一を達成。その功績から、業界団体の会長も歴任し、16年には旭日大綬章も受章していたが、腹心の部下に寝首を掻かれたわけだ。

「私自身、お人好しで脇の甘いところがあったと反省しています。事件を知ったのは、土地取引が終わった後の役員会でしたが、私は“こんなことはまかりならんから、すぐに公にしろ”と皆に言ったんです」

 しかし、

「当時の法務部長が、“警察から捜査の妨げになるから、公表はしてくれるなと言われている”と止められた。稟議書に判を押した責任者である当時の阿部社長以下、稲垣副社長ら役員4人組も、何も言わず知らん顔。それで警察の偉いさんに確認してみたら、止めるような話ではないと。おそらく、阿部君たちは事件化するのを恐れて特別損失で切り抜けるつもりだったのでしょう。結局、会社としては事件発生から2カ月経ってようやく公表したのですが、このままではアカンと調査委員会を立ち上げたのです」

 その後、“クーデター”が発生したわけだが、調査委員会は、その前に「調査報告書」を完成させていた。そこでは、社長だった阿部氏の決裁権者としての責任をこう断じていたのだ。

<業務執行責任者として、取引の全体像を把握せず、重大なリスクを認識できなかったことは、経営上、重い責任がある>

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