世界から賞賛された「韓国」の新型コロナ対策 「この時期、韓国にいて良かった」という日本人も

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海外からの入国者にも厳しい韓国

 海外からの帰国者や入国者についても日韓の対応は大きく違っている。

 日本では今月に入り、全世界からの入国者に対して指定された場所での2週間の待機と公共交通機関の利用自粛を要請すると表明した。だが、あくまでも「要請」にとどまっている。

 韓国では4月1日からすべての入国者に対して「2週間の施設での隔離」と「その費用140万ウォン(約12万4千円)の納付」を義務付けている。

 症状がある人は空港内で検査を受け、症状がない場合には政府や地方自治体が用意した隔離施設に移動した上で検査を受けることになる。

 このとき自己診断アプリもダウンロードしなければならない。日々、体調の変化等をアプリで報告することを義務付けられるのだ。

 これらの措置に違反した韓国人は1年以下の懲役、または1千万ウォン(約89万円)以下の罰金が課せられる。外国人であれば即、国外退去だ。日本の措置とは明らかに温度差がある。

住民登録制度を利用したマスクの配給も

 品薄だったマスクについては、2月上旬には厳しく規制。大量の買い占めには懲役2年以下または5千万ウォン(約450万円)以下の罰金を科すことに。マスクを不法に販売しようとした疑いで逮捕者も出た。

 3月になると国外へのマスクの郵送も禁止され、国民には生まれた年の末尾の数字でマスクを購入できる日を指定。格安の高性能マスクを1週間に2枚買えるようになったという。住民登録番号で管理されているので買い占めなどの不正もない。

 ソウル市内に住む女性は、アプリを利用してマスクの在庫を確認しているのは台湾だけではないと話す。

「2015年にMARS(中東呼吸器症候群)の感染拡大を経験した韓国でも、すでに個人がマスクの在庫を確認できる地図アプリを作っていたんです」

 供給は少しずつ安定し、最近では政府からの公的供給マスク以外に、市内のドラッグストアでもマスクが手に入るようになった。

 おかげで以前よりマスクをする人が増え、これも国民の安心につながっている。

「住んでいるマンション内では入居者たちに対し、『ゴミを捨てに行くにもマスクを着用し、入口にある消毒液を使うように』と放送しています。マスクをしていない人が先にエレベータに乗っていようものなら、誰も乗ろうとしないほど(苦笑)」

 この時期に自宅で浄水器の定期点検してもらった女性は驚きの声を上げた。

「家に来た検査員がマスク着用しているのはもちろん、世帯主の私にもマスクを着用してほしいと言われました。検査員は家に入る前に自分の手を消毒したと思ったら、うちの洗面所でも手洗いをしていましたよ」

 政府と国民の徹底した防疫により、韓国の新規感染者は日を追うごとに減少している。反対に上昇したのは文在寅大統領の支持率だった。

 だが好意的な声ばかりではない。中には今の状況を疑問に感じている韓国人もいる。

「韓国の防疫対策について政府が自画自賛しているけど、早い段階で中国からの入国を阻止しなかったという国内の批判をかわすためのもの。肝心なのは検査数よりも死亡数なのに、韓国はアジアの中で断然多い(4月8日時点で200人)。こうした都合の悪い情報を目立たなくするため、PCR検査数を宣伝しているに過ぎないのではないか」

 そんな辛辣な声も聞かれるが、いずれにしても韓国では一時期、中国に次ぐ感染者数を出していたにもかかわらず、いまや克服しつつある。

 後手後手な対応が際立つ日本政府には、せめて韓国政府のスピード感だけでも見習ってほしいものだ。

児玉愛子(ライター)

週刊新潮WEB取材班編集

2020年4月16日掲載

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