コロナで「不要不急の逮捕は控えよ」 警視庁の困惑

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消毒液を…

 現役警察官の苦悩を推し量ってもらうと、

「赤坂署のように刑事課で一人でも感染者が出ると課の全員が自宅待機になってしまう。ですから、“絶対に感染してはいけない”として、消毒液を持ち歩く刑事もいます。濃厚接触になる柔道や剣道の稽古は中止、飲み会や食事会の類もありません。出勤日は自宅に直帰して、休日も外出しない徹底ぶりです」(同)

 捜査への影響もある、と続ける。

「緊急時以外は聞き込みもしづらい状況です。そういう時は、関係者の自宅に手紙を投函して連絡を待ちます。取り調べも今は容疑者にマスクの着用が許可されているようで、表情を読むことが欠かせない刑事にとっては辛い状況です」

 先の記者が補足する。

「3月に警視庁が逮捕したフィリピンの特殊詐欺の事案では、渡航制限で現地の証拠を押収できず、起訴できるかが危ぶまれました。今後は、緊急性があり、確実に起訴できる案件を優先していく流れになるのではないでしょうか」

 織田裕二よろしく正義感あふれる刑事なら「事件に大きいも小さいもない!」と叫ぶ場面か。だが、背に腹は代えられない事情もあるということだろう。

週刊新潮 2020年4月16日号掲載

特集「『緊急事態宣言』を生きる」より

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