今年の巨人を占う 大野豊氏が挙げるリーグ連覇へのキーマンは?

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攻撃のキーポイント3選手

 昨季は2番・坂本から丸、岡本と続く打線が機能して、リーグ優勝につながった。「つなぐ攻撃で点が取れる打線。そういう攻撃が機能すれば、いやらしい打線になる」という大野氏は、3人の前後を打つ選手を攻撃のキーポイントに挙げる。

「1番には吉川尚が入ると思うが、ケガが多いのが気になる。坂本と丸はある程度、計算が立つところに、4番・岡本の状態が非常に良くなっている。岡本が成長した分、5番に誰が入るかが重要になる。新外国人のパーラが候補だが、オープン戦を見ると今ひとつ物足りない感もあるし、去年のビヤヌエバの例もある。育成から昇格したモタは、あのスイングは投手にとっては脅威に感じるものがあるが、現時点では穴が多過ぎる。ベテランの亀井や大城卓三あたりを入れてジグザグ打線を組む可能性もあるが、とにかく5番に誰が入るかが、打線のカギになると思う」

 大野氏はリーグ連覇へのキーマンとして、投手では先発左腕の田口を挙げたが、野手では意外な選手の名前も口にした。

「キャッチャーに関して、巨人は小林誠司を育てなければいけない。今の巨人の投手陣は若い選手が多いので、キャッチャーがピッチャーをリードすることで育てていかなければならない状況にある。そう考えると、長い目で見ても小林が正捕手になるのがベストだと思う」

 2017年のワールド・ベースボール・クラシックでは、侍ジャパンの正捕手格として活躍した小林。打撃面でも随所に光る活躍を見せたが、巨人では打率2割台前半のシーズンが続き、この2年間は出場試合数も減っている。社会人からドラフト1位で入団し、プロ7年目を迎える小林に大野氏は期待する。

「現状では炭谷銀仁朗や大城らとの併用で、極端に言えば先発マスクでシーズンの3分の1出られるかどうか、という感じになりかねない。小林は肩とリードはいいが、問題となるのはやはり打撃。巨人はずっと阿部慎之助が活躍していたが、他のチームも含めて、今はキャッチャーも打てなければ困るという風潮がある。打てるキャッチャーにならなければ、なかなか試合にも使ってもらえない。もともと打撃はそんなに悪くないので、もう少ししっかりと自分のバッティングができるようになって、打撃でも信頼される捕手になってもらいたい」

 12年からの3年連続リーグ優勝以来となる連覇に向け、大野氏は「当然、今年も優勝できる可能性のあるチームであることは間違いない」と評価する。その反面、「昨年も圧倒的な強さで勝ったチームではない。今年もセ・リーグは混戦状態で、巨人は課題をクリアできれば連覇も狙えるが、それができなければBクラスになる可能性もある」と不安も口にした。

 巨人は練習試合終了後、全体練習を行わず、いったんチームを解散して主力選手に関しては個人調整期間としており、これがどう影響するかも注目されるところだ。新型コロナウイルス騒動に終息の気配が見えない現状では果たして開幕まで行き着くのか、という事態となっているが、いずれにしても、昨季のリーグ王者の動向から目が離せない。

週刊新潮WEB取材班

2020年4月15日掲載

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