今年の巨人を占う 大野豊氏が挙げるリーグ連覇へのキーマンは?
新型コロナウイルスの影響で、開幕日がなかなか決まらないプロ野球。先月末には阪神・藤浪晋太郎などの感染発覚もあり、3日に行われた12球団代表者会議で二度目の開幕延期が決定した。シーズン短縮やクライマックスシリーズの未開催など、不透明な状況となっているが、ペナントレース争いでも、どう判断すべきか難しいチームがいる。昨年、5年ぶりにリーグ制覇を果たした巨人だ。
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オープン戦では9連敗を喫するなど、13試合勝ち星なしで終了し、2勝10敗4分、勝率.167で12球団最下位に終わった。しかし、開幕延期の影響で行われた練習試合では、開幕戦の相手に予定されていたDeNAに連勝し、敵地で行われた中日戦も2連勝を飾り、4連勝して対外試合を終えた。
過去5年でオープン戦最下位のチームは、全てシーズンでBクラスになっている。しかし、練習試合では大勝あり、接戦を制しての勝利ありの4戦負けなしと安定した戦いを見せた。
いったい今年の巨人は強いのか、弱いのか。リーグ連覇は可能なのか。野球評論家の大野豊氏は「今のところは、開幕が遅れたことが有利になった感がある」と、災転じて福となる可能性を示唆する。
「オープン戦ではひどい状態に見えたが、練習試合では投手陣の内容も良くなってきていたし、打線も機能していた。チームの立て直しはできつつあったように思う」という大野氏だが、当初の予定だった3月20日の開幕前の順位予想では巨人を4位に予想したという。
「オープン戦を見て、相当評価を下げた。一番の問題は、やはりピッチャー。特に先発陣は、昨年15勝の山口俊がメジャー移籍したことで、確実に計算できる投手が菅野智之ひとりになってしまった。原辰徳監督は菅野との二本柱として新外国人のサンチェスを非常に買っているようだが、オープン戦ではほとんどいいところが見られなかった。ストレートが速いという触れ込みだったが、そのストレートをことごとく打たれていた」 大野氏は「外国人選手に関しては、オープン戦の段階では評価が難しい。実際に練習試合の登板では、徐々に調子を上げているように見えた。その点でも、巨人にとっては開幕が遅れたことが、いい方に転ぶと言えるかもしれない」と、二本柱構想の実現に可能性を残したが、問題は2人に続く投手だと言う。
昨年、山口と菅野以外の先発投手では、メルセデスと桜井俊貴が8勝、1年目の高橋優貴が5勝をマークした。しかし、メルセデスは左ひじ違和感で出遅れてオープン戦は登板なし。桜井も3試合で防御率9.28と結果を残せていない。新戦力の台頭も期待されるが、大野氏は先発ローテーションの確立の難しさを言及する。
「毎年、春季キャンプからオープン戦に入るぐらいまでは、どこのチームでも先発候補として6人どころか8人、10人と名前が挙がる。それでも開幕が近づくと、先発ローテ枠を不安なく確定することができるチームは少ない。今年の巨人は田口麗斗が先発に戻る予定で、2年目の高橋などが続く。オープン戦では鍬原拓也や戸郷翔征が結果を残し、練習試合では今村信貴もいい投球をしていた。特に戸郷はキャンプで見た時は、かなりいいボールを投げていたが、だからと言って、勝てる投手かと言えば、まだまだ計算できない部分がある。山口の抜けた穴を埋めるのは大変だと思うが、いずれにしても今年の巨人の投手陣は、菅野とサンチェスのあとのピッチャーが、どれだけ頑張れるかにかかっていると思う」
攻撃面は坂本勇人、丸佳浩の主軸が健在で、4番の岡本和真もオープン戦で打率.356、3本塁打と、いよいよ本格化した感がある。新外国人のパーラに4年目の吉川尚輝、ベテランの亀井善行など、相変わらずの強力打線を誇るが、大野氏はオープン戦では「チームの悪い面が出た」と問題点を指摘する。
「巨人は、チームカラー的に一発で点を取るイメージ。ホームランがガンガン出始めると、チームに勢いも付く。その反面、打線のつながりという点では、比較的弱いチームだと思う。1人1人がつないで、チャンスでタイムリーという印象は薄い。オープン戦では、特にそのつながりという部分がなかったことが、低迷につながったと思う」
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