【コロナ禍】高3受験生も「全く授業がない」異常事態 都立の名門「日比谷・西・国立」に取材した
「勉強するしかない」
産経新聞は高校生にとっての4月を《新学期の授業時間の多い貴重な1カ月》と指摘したが、少なくとも国立高校は違うようだ。
回答には「行事が詰まっており」とあるが、そのクライマックスが9月の文化祭だという。
《国立高校は、9月の文化祭での3年全クラスの演劇が全国的に有名で「日本一の文化祭」といわれております。この演劇をしたくて国立高校に入学する生徒も多いです》
例年なら、文化祭までは受験勉強の絶対的な時間が減少してしまうが、秋からの追い上げでキャッチアップする生徒も決して少なくないようだ。
《9月からの切り替えの早さと地頭の良さでなんとか間に合わせているのが実情で今でも優秀な進学実績を出しているのですが、2年生から3年生の最初の時期までにもっと勉強させるにはどうしたらよいかが学校としての大きな課題です》
国立高校は今年の現状を《非常に心配しています》と憂慮を示すが、これを好機と捉えることもできるようだ。
《いつもなら行事で忙しい時期に何もできないので「勉強しかすることがない」という生徒も多くいます。この時期の過ごし方で、結果が大きく違ってくるだろうと考えています》
とはいえ、《しかし、3年生の科目については明らかに出遅れてしまいます》は文字通りリアルな分析だろう。《全国の高校生との戦いという目で見るとかなりのハンデになると思います》と指摘するが、これも本音に違いない。
例えば、現浪合わせて24人の東大合格者を出した富山県立富山中部高校は、「週刊朝日」のランキングでは全国29位となっている。
地元の富山テレビが4月2日(電子版)に報じた「富山県内 小中高校の新学期は」によると、県立高校は予定通りに新学期を始めるという。受験は自分との戦いであり、他校の動向は無関係だとはいえ、やはり気になる生徒もいるだろう。
もし新型コロナの感染スピードが落ち、都立高の5月再開が現実のものとなれば、《7月まで授業期間を延ばさざるを得ないのではと思います》という。まずは夏休みを削るというわけだ。
次は都立高1位の日比谷高校だが、直近の影響で言うと、修学旅行が中止になってしまった。武内彰校長が言う。
「例年であれば、3月の中旬に2泊3日で京都へ行きます。学校行事も生徒たちの成長に重要なのは言うまでもありません。仕方ないことではありますが、生徒たちだけでなく、私たち教師にとっても残念な結果となりました。今後の行事も不透明ですから、これも大きな不安要素です」
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