ワインの世界にもあった「コロナまみれ」ヨーロッパ絶望の10年

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全て引き抜いたロマネ・コンティ

 これによってヨーロッパの葡萄畑は復活を遂げますが、接ぎ木によりヨーロッパ系の葡萄の個性は薄まったという説もあります。実際 ロマネ・コンティの畑は自根(接ぎ木ナシ)にこだわり続けました。が フィロキセラ被害の拡大を防ぐことはできず、また第2次世界大戦で人手を奪われたことも重なり、実をつける樹はどんどん減少し、1945年の秋の収穫を最後に、葡萄樹を全て引き抜き接ぎ木することとなります。

 この年のロマネ・コンティの生産量はたったの約600本。若い頃はなんとかしてこのロマネ・コンティを飲んでみたいと思いましたが 無謀とも思えるその企みは叶うことはありませんでした。もうこの世に本物はないと思われますし、もし本物である可能性が高い極めて素性の良いものがあったとしても、急激な価格上昇に歯止めがかからない実態を考えると、今だと1億円してもおかしくないと思います。1年半ほど前のオークションで約6000万円でしたから。

 話が逸れましたが、こうして危機を乗り越えたヨーロッパの葡萄樹は、接ぎ木という手法でこれまで適応できなかったアメリカ大陸の葡萄畑の主役へと躍り出ます。有名なシャルドネだったりリースリング、メルロー、カベルネ・ソーヴィニョン、そしてピノ・ノワールなどなど。

 世界の多くの葡萄品種は、有名無名を問わず、ほとんどがヨーロッパ系品種またはそれを基に品種改良したものなんです。ザ・カリフォルニアワインってイメージのジンファンデルだってイタリアのプリミティーヴォ。さらには日本代表的葡萄の甲州も来歴は不明ながらもDNAを調べればヨーロッパ由来の葡萄。もちろん、ヨーロッパ系の葡萄の方が優れている なんてことが言いたいわけではないですよ。

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