「東京五輪」は来年も開催できない!

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“本当に出来る?”

 そもそも五輪自体、当初の経費は7千億円で、最終的には3兆円。当初の予算の4倍かかったプロジェクトなんてこの時点で「大失敗」なんです。一般企業なら損切りして責任者をクビにしますよ。五輪を呼んで本当に良かったのかということを、これを機に日本人は再考した方が良い。

 五輪に限らず、今回の騒動は我々に様々な“価値観”の転換を迫っているように見えます。

 中国という国についてもそう。実は東京開催が決まった7年前、私は浮かれる知人に「本当に出来ると思っているの?」と言ったことがある。その時は、尖閣問題がホットでしたから、中国は五輪が近づけば領海侵犯を繰り返すとか、サイバー攻撃を仕掛けるなど“嫌がらせ”をしてくるのではとか、中国がらみで不測の事態が起きるような気がしてならなかったのです。それがまさかのウイルスというもっと凶暴な姿に形を変えて日本を襲い、五輪は延期を強いられました。これもひとつの不幸な巡り合わせだと思いますね。

 これまで日本は、中国に対し、見たいものだけ見て、見たくない部分については、目を瞑ってきたんです。中国に進出すれば物は売れる。人件費は安い。私の友人の商社マンも「確かに問題はある国だけど、行かざるを得ない。だって売れるんだから」と言っていました。南シナ海への拡張政策も、チベットやウイグルでの人権弾圧もみな目を瞑り、大国と言うべき国力を付けさせてしまった。その結果がこの大混乱です。

 最近の中国は、武漢での新規の感染者を「ゼロ」と発表する日もしばしばですが、本当か。言論弾圧、人権無視、不都合なニュースは隠し通してきたあの国で、それは真実なのか。あれだけの感染力を持つウイルスが簡単に収まるとは思えません。これを機会に、今なお真実を隠蔽しているかに見える中国との付き合い方を真剣に再考すべきです。

 また、何より、感染症が人類にとってこれだけの脅威であり、どこの国もそれに対する備えが足りなかったということがはっきり露呈しました。ペスト流行の時代、あるいは100年前の「スペイン風邪」の時代は、国境を越えた人々の移動の手段は歩きや列車、船に限られていた。ウイルスは何カ月から何年もかかって伝播していくものでした。しかし、現代では、我々は24時間あれば世界の大抵の都市に行けてしまいます。つまり、潜伏期間中にウイルスはどこにでも広まっていってしまうのです。このことを前提にして、あらゆる事態を想定したプランを作るべきだったのに、どこの国もそれが出来ていなかった。感染症の脅威に対する「甘さ」をまざまざと浮き彫りにしました。

 これから先、日本にも感染爆発が起き、死者が加速度的に増えていくかもしれません。その最悪の事態に陥った時、我々にはもう一つ価値の転換を図らなければならないことがあります。誰も指摘していませんが、それは、我々は初めて「命の選別」を強いられるということです。

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