韓国、日本総領事館に侵入の大学生に実質無罪判決 残念な“情治国家”を露呈

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反日無罪という風潮

「昨年10月には、ソウルのアメリカ大使館邸にも大学生が侵入しています。集まった19人の大学生のうち、17人が梯子を使って塀を乗り越えて侵入し、『ハリス(米大使)はこの地を去れ』とデモを行いました。19人全員が身柄を拘束されましたが、結局起訴されたのは首謀者の4人だけでした。大使館邸に乱入して、4人だけ起訴というのは甘すぎますね」

 と解説するのは、産経新聞ソウル駐在特別記者の黒田勝弘氏。

 アメリカ大使館に乱入した大学生は、「韓国大学学生進歩連合」という団体に所属している。

「日本総領事館に侵入した学生も、米大使館に乱入した学生も、いずれも親北勢力と言われています。金正恩を崇拝する左派団体に所属していたわけです。彼らは日本大使館前で、慰安婦団体と一緒にデモや集会を行っています。本来、大使館の前でデモや集会を行うことは違法行為なので、慰安婦団体などは韓国当局に『記者会見を行う』と言って届け出ます。これに対し、親北勢力の学生たちは届け出ていないので身柄を拘束されますが、ほとんどすぐに釈放されます。韓国では、反日イコール愛国です。愛国無罪、反日無罪という風潮になっているので、学生たちは法に触れることをやっても大丈夫と高をくくっているのです」(同)

 2011年に起こった中国人による靖国神社放火事件も、韓国司法の対応は異様だった。

「靖国のトイレに放火した中国人は、すぐに韓国に逃亡したため、日本政府は引き渡しを韓国に求めたところ、ソウル高裁が拒否する判決を出しました。犯人の祖母が韓国出身で、戦時中、従軍慰安婦だったということで、日本に批判的なのは十分に理解できるという理由でした」(同)

 ソウル高裁は、中国人を政治犯であると指摘。政治犯を引き渡すのは韓国の政治秩序と憲法理念だけでなく、大多数の文明国家の普遍的価値を否定するとし、中国へ送還された。

「韓国の司法は法律よりも、考え方や志を重要視しています。ですから韓国は法治国家ではありません。情治国家ですね。特に日本がらみの話になると、それが強く出ます。2015年に安倍晋三首相と朴槿恵大統領との間に日韓合意が結ばれ、慰安婦問題は最終的、不可逆的に解決。日本は10億円の資金も出しました。なのに、16年には元慰安婦ら20人が日本政府に約30億ウォン(約3億円)の損害賠償訴訟を起こしている。18年には、韓国の最高裁が被害者の立場を全面的に支持して、徴用工への賠償を認める判決を出しました。1965年の日韓請求権協定により解決していることを蒸し返したのです。請求権協定で日本は韓国に無償で3億ドル、有償で2億ドルを提供しているのです。国家間で協定を結んでも、それを無視してしまう。今回の大学生への実質無罪判決の根底には、最高裁の徴用工判決があります。国家よりも個人、被害者を重要視する国とはまともに付き合えませんね」(同)

2020年4月10日掲載

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